指の話3 指の始まり

『張韶老師の二胡講座:下巻』123ページのコラム「小指まとめ」について。

●コラム冒頭 「指を開くとは」
関連記事を こちら にまとめました。

●コラム 小指を使うとき1
a)小指の始まり
b)小指の使い方
c)手首の動きと肘の回転運動の利用

●コラム 小指を使うとき2
d)小指のサポート
e)腕のサポート

●コラム 小指の揉弦
f)小指の揉弦

ここでは、コラム「小指を使うとき」より、a)小指の始まり と b)小指の使い方(一部) についてのトピックをまとめます。

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a)小指の始まり

「小指」の始まり、というより、「指」の始まりについて考えてみます。

いぜん、レッスン中に「指が長くていいですね」と言われたことがあります。
実際はこんな感じ。

みなさんはどう思われますか?
右手にカメラをもって左手をねじるように撮影しているので、ちょっと手の角度が不自然なのですが・・・

私は「そうですか?」といって、二胡から手を外し、その方の目の前にぱっと広げました。

そしたら「あれ?そんなに長くない・・・?」という反応。
実際、二人の手のひらを合わせてみると、私の指の方が短かったのです。

確かに私は指が短いです。特に小指が短く、小指の先は薬指の爪のすぐ下の関節に届きません。
なのに、正面からみると、指が長く見えたという。
いったいどういうトリック(?)なのでしょうか?

まず、二胡をひいているときの指の長さは、下の赤い矢印です。
(分かりやすいよう薬指で表示しています)

しかし、手を開いて手のひら側から見ると、赤い矢印は以下のようになります。
青い矢印ではないんです。

なに、赤い矢印はインチキではないか・・・?
いやいや、その証拠に、指を曲げてみて下さい。

ほら、手相で言う感情線と知能線(私も詳しくないのでネットで調べたのですが)を結ぶ線で曲がりましたよね。

しかし、そこはまだほんとうに指の始まりではありません。
ほんとうの指の始まりはだいたいこのへんです

手の甲裏から見るなら、だいたいこのへん。

ここが指の始まりになります。
この関節を手根中手関節といいます。

まず二胡で左手指を使うときは、指の付け根の関節(中手指節関節。ほんとは付け根はそこではないのですが)で指を曲げることが前提になります。これは分かりやすいですよね。
(関連事項として 指の話2 指を「開く」とは? も参照して下さい)。

ただ、特に小指のような短い指で、遠くへ伸ばすことが多い指の場合、
前述の手のひらの中にある指の始まりの関節(手根中手関節)も使うことができるのです。

そんなとこ、使えるの?と思ったでしょうか?
下の写真を見て下さい。これは(見かけ上の)付け根の関節(中手指節関節)で指を曲げている状態です。
他の関節も曲がってますが、これは意識的に曲げてるのではなく、脱力した結果、自然に曲がっているだけです。

では、上の写真が下の写真の状態になったとき、これはどこを曲げているのでしょうか?
手首は曲げていませんが、小指が薬指の関節とずれています。
(右の写真では、分かりやすいように該当する小指の関節に赤丸、薬指の関節に青丸を付けています。)

これこそが、手のひらの中の関節(手根中手関節)を曲げている状態なのです。

 

この関節の可動域は、親指を除くと、小指がいちばん広いです(動きの解剖学168p)。
この動きを使わない手はないです。

しかも、ココの関節を使う時の利点がもう1つあります。
前に紹介した「指の話2」とも関連しますが、
中指・小指の手根中手関節を曲げると、指は真下ではなく中央よりに動きます。
親指側に寄っていくように曲がるのです。

これはものをつかむために有利なしくみですが、二胡にも利用できます。
下の写真を御覧ください。手をリラックスさせている状態です。

指は脱力していると自然にまるまります。その証拠に、寝ている時に指をピンと伸ばしている人はいません。
これはぜひ覚えておいたほうがいい知識です。

で、小指だけを手根中手関節で曲げてみます。

すると、小指に従って他の指も曲がり、結果、指先が自然に一直線に並びます。
これが、二胡の弦のラインとちょうど一致するのです。

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びしっ

ころん

夜になると瞳がまんまるで可愛い。
同じねことは思えない。

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