これまでの指の話はどちらかというと左手に偏っていた気がします。
でも、どっちの手にも当てはまることがたくさんあるので、
まずは「指の話」1~4を読んでいただいたうえで、
ここでは、右手の指が何をやっているかについて
現時点で私が個人的に考えていることなどを書き留めておきたいと思います。
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1)まずは箸から
もし二胡をひきたい方や、二胡をひいている方で、
お箸や鉛筆、特にお箸を一般的な持ち方で持てない方は
そちらにもチャレンジしてみることをお薦めします。
実は私は、たぶん高校生くらいまで箸の持ち方が間違ってました。
しかも、帰省先で今は亡き祖母に怒られて、はじめて気がついたのです。
そんな私が箸の持ち方について述べるのはまさに噴飯ものですが、
でも日本人なら毎日やっている箸の持ち方を探求することで、
二胡の弓の持ち方のヒントになるのではないか、と思ったので、
どうか、箸の話をさせてくださいませ。
スプーンやフォークを持つ時は、基本的に一本の棒状のものを操ります。
しかし箸では、2本の棒状のものが異なる動きをすることもあります。
まずはそのための各指の役割分担を考えてみます。
(厳密にいえばスプーンなどでも各指の役割は異なると思います。
でもその分担は箸ほどはっきりしてないので、
小さい子どもや手がうまく動かない方にとっては箸より使いやすいと思うのです。)
箸の2本の棒のうち、上の方を棒1、下の方を棒2とします。
棒1は3本の指で支えられています。
私の場合、棒1を人差し指の根元(A。基節骨)、
人差し指の指先の小指側側面(B)、中指の指先の親指側側面(C)、
親指の指先の小指側側面(D)で支えています。
ACが棒1を下から、Dが上から、Bが横から支えます。
棒2は、親指の根元と人差し指の根元の間(E)、
薬指の指先の親指側側面(F)で支えており、
また間接的に親指の根元(G。基節骨)も間接的に支えとして役立っています。
棒1に比べ、棒2は基本的にそんなに動かしません。
棒1が動いて、ものを挟んだりします。
Dが棒1と触れているところが(たぶん)支点になります。
BCが動きを作り(ここが力点?)、最終的に箸先を閉じたりひらいたりできます。
箸で積極的に活動するのは棒1です。
なので、棒1の方が多くの指が関わっています。
では、小指はどうでしょうか?
私の箸の持ち方では、薬指の下にくっついて、
薬指と一緒に棒2を支えてます。
小指を薬指から離すと、棒2を支えることが出来ません。
これは私の推測ですが、前に小指の話をした時に、
腕のサポートは小指側にあるという話をしましたが、
箸においても、小指はただ薬指にひっついているだけでなく、
棒1の上下動を受ける棒2をしっかり支える主体になっているのかもしれません。
2)二胡
一方、二胡はどうでしょうか?
下の写真は、一例です。人によって違う場合があります。
また、自分で自分の手の写真をとる都合上、実際に音を出す手の状態・角度ではないことも
ご理解いただければ幸いです。
棒1=弓棹、棒2=弓毛に相当します。
弓棹はABが下から支えており、Dが上から支えています。(二胡・箸共通)
弓毛はEが支えていますが、私の場合、箸とはちょっと位置が違い、
AもEも中指の基節骨の上です。
(これはあくまでも私個人の場合です。
箸と同じような場所で支える方もいらっしゃいます)
一方、箸の場合には棒1を支えつつ、Bと協調して動かしていたCは
二胡では棒2、つまり弓毛と関わります。
また、二胡は弓の両端が繋がっているので、
箸の棒2のように、Fの下からの支えは不要です。
そこで、CFは、二胡では協調して弓毛に関わるのです。
CFは、外弦をひくときはただ弓毛に触れているだけですが、
内弦をひくときには中指・薬指が協調して弓毛を内弦に接触させます。
また、副次的な役割として、Cは弓棹にも触れているため、
外弦をひくときに間接的に弓棹を支える役割も果たせます。
一方、Gも弓毛に触れてはいますが、弓毛に果たす作用はほぼ無いです。
(ちなみに、「やってみよう」的な体験で簡単に説明するときは、
「この2本(弓棹と弓毛)をお箸みたいに持ちます。」
「そして、薬指を中指の横に持ってきます」
てな感じで言ったりします。)
で、小指ですが、これも箸と同じく、何もしていないわけではないと思います。
これについては、腕の話で述べたいと思います。
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こころかよわせるとき
すれちがうとき