《コンテンツ》
●月が傾く カラスがカア
●落語との共通点?
●今度は音楽に活かすぞ!
月が傾く カラスがカア
前回の続きです。
このたびの京都の中華料理屋さんでの演奏で私が立てたプランは3つ。
A)聞いている人、聞いていない人すべてに音楽を届ける意識で演奏する。
B)そのために、会場の広さを実感しながら演奏する。
c)情景を思い浮かべながら演奏を届ける。
このうちの
c)情景を思い浮かべながら演奏を届ける
についてです。
これ、まずは朗読でやってみました。
朗読というのは、蘇州夜曲を演奏するときに
カラオケのピアノ伴奏の間奏中に、同じ蘇州を詠んだ
唐・張継の詠んだ漢詩「楓橋夜泊」を中国語で読み上げて、
中国語独特の音楽的な抑揚を味わっていただくものです。
これまで何回かやっていることなのですが、
今回は特に、1つ1つの情景をハッキリ思い浮かべて読みました。
具体的にいうと、例えばこの漢詩の冒頭の「月落乌啼霜满天」は、
「月落」と言ったら傾く月を
「乌啼」と言ったらカラスが「カア」と鳴いている様子を
「霜满天」と言ったら凍てつく夜空を、
1つずつ想像していったのです。
(ちなみに、この部分はスマホで入力してますが、
中国語入力モードで「月」「落」「乌」「啼」と入力していったら、
予測変換で「霜满天」が出てきました。すごい!)
落語との共通点?
元ネタはBodyChanceの先生のヤスヒロさんのブログです。
↑ の(4)を利用しました。
実は、おんなじ事を、さっきラジオでも言ってたんです。
このブログを書きながら、ABCラジオで
2018年2月11日22:30~23:00に放送された
「日曜スペシャル ラジオ師匠噺」(出演:桂吉弥・桂春蝶)を
タイムフリーで聞いてたんですが、その途中、
ふっと耳をそばたてました。
というのは、春蝶さんが米朝師匠の著書『落語と私』の
第1章「話芸としての落語」で、こんなことを書いている、
と紹介していたのです。
例えば、「その財布、取ってくれるか」というところでは、
そのセリフ?をいいながら何気なく指さす仕草をする、
というのがオーソドックスなやり方。
しかし、米朝師匠は、「その財布」でいったん間をあけろ
と著書の中で教えている、と。
そのこころは、間をあけている間に
「財布」というセリフを聞いたお客さんは
財布というものを自分なりにイメージする。
それから演者が指さす仕草をするので、
お客さんは指さした先にリアルに財布が見える、
とのことでした。
きっと、さまざまなメソッドに違うことばで表現されていることは
時に、1つの真実にたどり着くのだろうと思います。
(例えば、どこかに書いたかもしれませんが
「刺激への反応の仕方は自分が選択できる」というのは
F.M. アレクサンダーも、『七つの習慣』のコビーさんも言っています。
ただ、どうやって反応を選択できるか、というプロセスを
きちんと示しているだけ、F.M. アレクサンダーに分があるな、と
個人的には思っていますが)
今度は音楽に活かすぞ!
私がこのような試みをしたとて、
本当にお客さんの受け取り方が変わったかは分かりません。
知らない方のために、最初に日本語の読み下し文を読みましたが、
私が中国語を読むまでに覚えているかどうか分からないからです。
しかし、お客さんの反応は私にはどうしようもないけど、
自分自身が新しい試みをした、という事実は自分の中に残ります。
そして、私自身の読み方も、これまでとは明らかに
速さ・リズムが変わりました。
速さはやはり「月落」で自分が思い浮かべるための間を取るので
おのずからゆっくりとなります。
その結果、これまでは「月落乌啼/霜满天」と読んでいたのですが、
「月落/乌啼/霜满天」にかわりました。
これを音楽に活かしたい。
もっと簡単なバージョンを、二胡のグループレッスンでやってみたのですが、
その結果は、またブログでご報告したいと思います。
★おまけのメモ:
・やっててよかったこと:衣裳の微調整。たとえば演奏するとき肩が露出してしまって気になるのを、ストールを安全ピンで留めて解決。
・新しい課題1:・客が入った時のギャップがまだつかみきれていない。
→ 弓を多めに返す
→ 小さな音で注目してもらう。
→ 機材で解決できないか。持ち込みスピーカーをスマホにつなげて伴奏を流したが、ピンマイクを買ってスピーカとつなげられるか?
・新しい課題2:お辞儀して、マイクもらって、の所作がわちゃわちゃなる。
→ ひとつひとつの所作を短い文章で頭に思い浮かべ、1つの動作をちゃんと終了させてから次にいく。
これは愛子さんのメソッドだったか・・・。また機会があれば実践してここに書きます。
・新しい課題3:あれだけ練習したのに、日本語での書き下し文を読むとき、詰まってしまった。中国語で読むのと違って、日本語書き下しには一定のリズムが無いから覚えにくい。でも、会場のお客さんがフォローしてくださって、ホッとしました。
この項目はこれにて終了です。
読んでいただいてありがとうございました!
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5年間、2013年のねこ。

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このおうちも建て替えられて昔の面影は無くなりました。
ねこたちもどこかに行ってしまいました。

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