2018年8月22日の「二胡を楽しむ会」の報告です。
いつもの会場である天王寺区民センター第4会議室で行いました。
・病中吟(無伴奏) 作曲:劉天華 1918年
・月夜(リクエスト曲・再演)作曲:劉天華
・月亮代表我的心(リクエスト曲)作曲:湯尼
・迷い道 作曲:渡辺真知子
・葡萄熟了 作曲:周維
劉天華の1曲目と2曲目。同じ時期に作られていながら、劉天華の境遇の変化も影響したのか、まったく違う感じの曲になっているのが面白く、続けて演奏しました。
再演の「月夜」は、前回は無伴奏で、今回は伴奏とともに演奏しました。
月つながりで、いぜんからリクエストがあった「月亮~」を。ふつうはG調だけど、この譜面は♭B調でした。
「迷い道」は、テレサ版「月亮~」と同年の1977年の曲から選びました。
最後に、季節の曲である「葡萄~」を演奏しました。
●アンケートより(掲載可の方のみ)
・弾かなくても、座学でも二胡に親しめるのが嬉しかったです。少し大学生(?)の気分でした。
葡萄熟了は大好きな曲で、他はあまり聞いたことがありませんでしたがすべて「弾いてみたいな~」と思いながら聴いていました。とても難しそうですね。
劉天華さんはそんなに若くして亡くなったとは知りませんでした。劉天華さんの本も読んでみたくなりました。
一回参加して終了(&修了)というのではなく、
続けて参加して意味がある会だなあと思うのでこれからもできる限り参加したいです。
(匿名様)
・二胡を楽しむ会 グループレッスン初めての参加で生きてきた中で、これだけ緊張した事がないくらい手が震えました(笑)
とてもいい経験が出来ました。
有難うございました。
(※引用者注:この方は「楽しむ会」の後のグループレッスンで「お客さんの前でひく」という練習をなさいました)
井上先生の繊細で且つダイナミックな二胡の演奏を聞けて
とても感激いたしました。
どの曲も素晴らしかったですが、特にテレサテンさんが歌っておられたと言う
『月亮代表我的心』がとても印象的で良かったです。
月の光のようにせつなくて優しい愛が伝わってきました。
いつか弾きたいです♪ (匿名様)
・曲紹介を中国の歴史をまじえてお話しして頂けるので勉強になります。葡萄熟了、快板が速くて素晴らしかったです。動きについて考えていきたいです(あず様)
・先生の演奏は繊細で多彩でした。Mさん(※引用者注:お友達の方の名前)から聞いていた通り発見がたくさんありました。とても素晴らしかったです。
・先生の演奏 初めて聞かせて頂き とても素晴らしかったです! 強弱の大切さを改めて知りました。(匿名様)
・先週も、二胡を楽しむ会、グループレッスン、ありがとうございました。
毎回、なかなか触れることのできない曲のお話や、エピソードなど伺えて、先生の二胡演奏をお部屋で聴かせていただける幸せ!
嬉しく、感謝しています。
劉天華さんの紹介で、見たことないような大きな本を持って来てくださって、あんな凄い本が出されるほど、凄い方だったのだと実感しています。
若くして亡くなられたことが、本当に残念です。
貴重な本だと思います。
さぞ重かったと思います。ありがとうございました。
爽やか鮮やかな色、新しいスピーカーも素敵でした。
コンパクトなのに、スピーカー部分が大きくて、音質、ボリュームも申し分ないですね。
ブログ拝見しました。演奏、間違われたそうですが、全然気がつかなかったです。曲を詳しく知らなかったからかもしれませんが。
全部暗譜でひかれて、うっとりでした。
今回、友達と参加できて、素晴らしい時間を共有できました。お世話になりました。ありがとうございました。
○○さん(個人名)や、新しい方々とグループレッスンもとても新鮮で、みなさんの真剣な二胡への思いに目を見開かれた気がしました。
手が震える!緊張のことも、ビンビン伝わりました。
私も、先生に受け止めてもらって背中押してもらって、緊張しても、だんだん、震えは無くなって来てると実感しています。
人前で弾く!
まだ、二胡を始めて数ヶ月の方が、素晴らしい演奏をされて、ビックリ感動でした。
二胡の演奏を楽しむこと、工夫して自分の曲想しっかり表現されて、彼女の土台、先生の幅の広い奥が深いレッスンに驚きました。
音が出るだけで嬉しかった、内開放弦の音色に魅入られ、この音が出せたら!と二胡の虜になった初心を思い出しました。
先生の、この曲も10年20年、練習しています、、、と仰られたお話、出来ない、、、と、諦めてしまうのではなくて、何回も、何年も、弾きたい曲、弾けるようになりたい曲を温めトライを楽しんでいけばよいのだなあと思いました。年月かけて、自分の成長を確かめられるチャンスになるかも。(後略)
(匿名様。とても臨場感溢れる感想メール、ありがとうございました!)
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さて今回演奏に際して、どう目標を設定するか苦しんでいました。
練習しながら、その練習の目的がどうしても「ミス無く演奏したい」「間違いたくない」という点に終始してしまう。
速いパッセージがある曲はもちろんのこと、ゆったりした曲でも、伴奏音源の出だしと合わせるためのタイミングの取り方、また暗譜が不十分だったり。
そこで、趣味で習っている歌の先生にそのことを相談しました。
先生はアレクサンダー講師でもあります。
先生はおっしゃいました。
「聞いている人はミスがない演奏を聞きたいと思ってるかな?」
「それより、演奏を聴いて楽しんでもらったほうがいいんじゃない?」
「聞いている人には生徒さんもいるんだよね。ミスのない演奏で完璧にひいたら、生徒さんたちに”ほ~”と感心してもらえるかもしれないけど、”でも私じゃムリだわ”ってことにならへん? それより、ほんとうに楽しそうに演奏して、”私も弾きたいな~”って思ってもらいたいんじゃない?」
先生の言葉を一言一句正確には覚えていないですが、そんな感じ。
なんか、「何のためにこの演奏会を開くのか」という原点に戻れたような気がしました。
ホールで、音楽家として演奏するんじゃない。
この曲を私がどう解釈して、どう演奏するか。それに対して、曲の解説や背景をお話しながら、時には曲に対する個人的なエピソードや思い入れなど、いわゆる「楽屋裏」をぶっちゃけながら、自分で伴奏を「ぽちっ」として聞いてもらうような・・・。
そう、聞いている人はみんな二胡をひいている人たちです。
そのみなさんに「私もいつか弾いてみたいな」と思ってもらえる、それがいちばん嬉しいじゃないか、と。
アレクサンダーテクニークの学校であるBODYCHANCEでは、一番大切にしているのは「望み」です。
そうだった。
私自身が自分の「望み」を完全に見失っていました・・・。
実は、その考えに自分が救われたことが直前にありました。
本番前日の火曜日に、個人レッスンの生徒さんが大胡らしき楽器を持ってこられました。
買ったけど、一度も弾いたことがないそうです。
私も初めてみた楽器で、二胡よりも中胡よりもさらに一回り大きな楽器です。
特に内弦は音を出すだけで精一杯で、特に内弦開放弦の長2度上の2などは、ふつうに弦を押さえても音がひっくりかえります。私にとっては非常に体力が必要な感じでした。
それを一生懸命ひいていて、レッスンが終わって生徒さんが帰られて、いざ、明日の本番の練習をしようとしたとき、二胡の快弓の完全に感覚が狂ってしまったことに気づいたのです。
このレッスン部屋を使えるのはあと30分。
家では弱音器しか使えないので、本番と同じ状態での練習はできません。
昨日までひけてた箇所も躓いて、ボロボロになってしまいました。
最初は馬鹿みたいに速い箇所をひいて、間違えて、また弾いて間違えて、を繰り返してしました。そこで、ハッと我に返ったのです。
あ、いま必死でやってたことって、もう完全に間違えないための練習になってたなと。
そこで、方針を変えて、自分のテンポで、このフレーズを楽しむために何度か弾いてみました。
豊かな実りを喜び、心弾み、踊りまくる人々。その周りには打楽器や手拍子でやんややんやと盛り上がる人々。
泣きそうな気持ちがちょっと収まり、場面が見えてきました。
しばらくその状態で楽しんで、そのあと、ちょっとドキドキしながら伴奏音源と合わせてみました。
いつもの箇所でつっかえたけど、でも「てへペロ」ぐらいの気持ちでやり過ごすことができました。
私は楽器を片付けて、帰宅しました。
ほんで当日。
弾く前に「間違えますよ!!」と高らかに宣言して、間違えて、でも楽しんでひけたんです。
歌の先生に相談しておいてほんと良かったな、と思いました。
もし、「間違えないこと」が目標だったら、私はものすごく落ち込んでいたでしょう。
というか、昨日に大胡をひいたあとに感覚が狂った状態から抜け出せず、やけくそな気持ちになっていたかもしれません。
でも、目標が「楽しむこと」だったので、私はそれを達成できたのです。
そして、いまはまだ途中だから、これからもっとこれらの曲たちを知っていこう、と前向きな気持ちになることができました。
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のびのびするっていいよね!
※私の別のブログで掲載したことがあるかもしれない写真です。