●厳しい残暑と夕方のスコール
●4回目のワークショップ
●私自身の学び
厳しい残暑と夕方のスコール
2019年9月4日(水)、いつもの天王寺区民センターで「二胡を楽しむワークショップ・右手編」を開講しました。
9月に入ったにもかかわらず、残暑がむちゃくちゃ厳しく、遠方からいらっしゃった方は「大阪がこんなに暑いなんて!」とビックリしてらっしゃいました。
私自身も、行きの地下鉄の中で、汗が背中をツツーっと伝って落ちてくるのを感じるくらいの蒸し暑さに、ホンマに参ってしまいました。
きっと、今むっちゃ汗臭いわ、と心配しながら会場に向かったものの、到着すると、そんなことをすっかり忘れてしまいました(すみません!)
しかも、ワークショップが終わってからご参加の皆様を見送った後、カギを返却するついでに3月のお部屋の予約をしようと受付に行ったら、なんと外はものすごい豪雨! 叩きつけるような雨音が屋内まで聞こえてきました。
私は日傘を持ってきてたので、トートバッグの中身をビニール袋で防御して無事帰宅しましたが、みなさん、無事におうちに帰れたでしょうか・・・ほんまに心配です。
4回目のワークショップ
さて本題ですが、ワークショップの「右手編」は今回が4回目です。参加者さんに聞かれたときに「3回目です」と答えてしまいましたが、私の記憶違いでした・・・。
「軸と右腕」という内容の根幹は変わらないものの、アクティビティを多少差し替えたり、1つのアクティビティの手順を変えたり、4回の間にプチリニューアルを続けています。
今回は、ぜったい3時半には会場をでなきゃ!という方がいらっしゃらなかったので、少し時間に余裕があったこともあり、各過程で「全身の協調性」「あたまふんわり」という、2つの一番大事なことを何度も繰り返しお伝えする、ということを意識的にやりました。
最初のアクティビティでは、この「全身の協調性」を実感していただくのがねらいでした。でも、実感しない人もいる。変化がない、変化が感じられない場合もぜんぜんOKなんです。もしかしたら、他の機会に実感することがあるかもしれませんしね。
アクティビティは、あくまでも「きっかけ」にすぎません。
でも、大切なのは、たとえ実感が有っても無くても、「全身の協調性」は大事だということです。私たちは、右手をやっているときは右手、左手をやっているときは左手だけ、難しいフレーズのときは指だけ、と、どうしても意識が「部分」に行ってしまいます。
これは、その「部分」だけに「直接」働きかけて、手っ取り早く結果を得ようというアプローチで、このことを「エンドゲイニング(end gaining)」といいます。
でも、身体が動くしくみはとても複雑で、そうやって部分だけを結果的になんとかしようとすると、いろいろとうまくいかないことも多いのです。
だから、「結果」ではなく、どうやったらうまくできるか、という「プロセス」を重視する必要があります(このことを、「ミーンズ・ウェアバイ(means whereby)」といいます)。
私たちができることは、なにかをするために、あちこちの部分がうまく動くことができる状態にしてあげることです。
まずは、頭を脊椎のてっぺん(AO関節)のうえでうまくバランスさせること。
このことは、いろんな方がいろんな表現を使っていますが、以前このブログでも紹介した木野村先生の本の中で使われていた「あたまふんわり」が、いまのところ一番しっくりくるので、これを使っています。
たぶん、この2つって、1つのことを別の側面から表していると思うんですよね。
頭がうまく脊椎のてっぺんでバランスさせることで(あたまふんわり)、「全身の協調性」が生まれ、それによって、心と身体がもともともっている本来の働きを取り戻せる、てなことだと思うのですよ。
このあたりのことは、今後のアレクサンダーテクニークの学び(実際のアクティビティや、ブックコースでのアレクサンダー本人の言葉からの学び)で深めていきたいと思うのです。
みなさんに助けられての学び
そして、上記の実践を消化・蓄積したうえで(インプット)、どのような形でそれをみなさんにお伝えしていくか(アウトプット)。
人前でひくことも、生徒さんとの個人レッスン・グループレッスン、そして、今回のようなワークショップを行うことも、すべてアウトプットです。「伝える」という点では、演奏することと同じなんですよね。
人前で演奏するためには、練習しなくてはいけない。でも、その練習の内容は、一人でも出来ることがたくさんあります。
しかし、生徒さんへのレッスンやワークショップは、なかなか一人で練習することが困難です。だから、実際のレッスンやワークショップの場が、本番であり、練習でもあります。
初回の「右手編」は、BODYCHANCEのアレクサンダーテクニーク講師資格を取るための、単位の1つでもありました。
ワークショップの組み立てを一生懸命考えても、散漫になってまとまらず、呆然としていた私に、由香さんが「テーマを1つに絞ったら」と提案してくださったのは由香さんでした。
同じワークショップを何回もやったらいいよ、とアドバイスしてくださったり、ワークショップの中にある、脊椎の筋肉についての説明をアクティビティとして何度も練習させてくださったのは裕介さんでした。
お二人のほか、いろいろな先生方からの学びを受けて、参加者さんが申し込んで下さって、こうやって「右手編」を4回もできたことは、ほんとうに幸せでした。
その4回のなかで、今回は、これが一番の課題なのですが、参加者の方々の様子を観察し、自分自身のユースに気づく、これらのことを、時々思い出すことができました。
無我夢中でほとんど思い出せなかった初期の頃より、わずかに進歩している、という程度ですが、ここは、素直に自分の変化を褒めてあげようと思います。
また、このように自分に変化がおこったことは、参加者さんのおかげでもあります。
今回、5人中4人の方が「はじめまして」にも関わらず、皆さん、とても積極的に感想や質問などフィードバックをくださり、いつものグループレッスンのように盛り上がりました。
フィードバッグがあると、とても助かります。自分の言葉が参加者の方にどう伝わったのか、そして参加者の方がどういうことを望んでるのか、ということが分かるからです。
また、どなたかが口火を切ることで、「あ、気楽に質問していいんだな」という場の空気を作ってくださるというのもあります。また、参加者さんがなんかもやもやしている時に、別の方がそれをはっきり言葉にして発言くださることで、改めて自分のなかの疑問や気づきにつながったりします。
これは、二胡のグループレッスンや、中国語のレッスンや授業でもいえることです。
もちろん、みなさんがおとなしい方だとしても、講師自身が参加者さんの様子や場の雰囲気を観察して、みなさんの思いをくみ取って、そういう「安心できる空間」を作り出すことが一番大切なことです。
私自身も、そういう空間・雰囲気にしようとつとめてはいますが、ただ、まだまだ修行中の身で、しかも、自分がもともと「空気を読めない」タイプだと自覚しているので、ほんとうに毎回のワークショップにおいて、参加者さん自身の熱心さや、積極性に助けられていることを、しみじみと感じています。
そもそも、私が多少長く二胡を学んでいるというだけで、人間力・コミュ力はほんまに参加者や生徒さんたちのほうが断然上だと、いつも感心してばかりなんですよ。
今回も、参加者の皆さん同士で色々情報交換で盛り上がってらして、その様子を眺めながら、教室の枠を超えて初対面同士でも二胡を通じて交流できるって素敵なことだなあ、としみじみと感じました。
皆さんに支えられてのワークショップ、来年の「左手編」再開講の準備も頑張ります!
下は、ワークショップの記念写真です。参加者さんのお一人が撮影して下さいました。どうもありがとうございました!
(画像は加工しています)
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「二胡を楽しむワークショップ:楽器編」に興味を持たれた方はへ
この「右手編」は、「左手編」「楽器編」とシリーズになっているワークショップです。もし興味を持たれた方は、ぜひ来年開講予定の「左手編」「楽器編」を受講してみてください(まだチラシは作っていませんが)
●2020年2月4日(水)13:30~「二胡を楽しむワークショップ:左手編」(再開講)
●2020年3月4日(水)13:30~「二胡を楽しむワークショップ:楽器編」(再開講)
どれも会場は天王寺区民センターです。3人以上お申し込みがあったら、これらのワークショップを正式に開講しますので、興味のある方は「こちら」までお問い合わせ下さい。
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以下は、ご参加いただいた方々の声です(掲載可の方のみ)。
※がついている箇所については、私の方でコメント末尾で補足しています。
☆KEI様
①印象に残った内容
骨格や筋肉等のしくみや動作時のそれらの効率良い使い方が、良く解り、今後の二胡の運弓時に役に立ちます。
丁寧で解り易い講習を有難うございました。
②今後やって欲しい講座
左手の使い方のワークショップにも参加したいのですが、予定が合うならば良いなと思います※。
【いのうえから補足】
※左手編、上記のように2020年2月5日開催予定です!
☆匿名様
①印象に残った内容
運弓などの方向が分かって、換弦がしやすくなり感動しました※
身体のしくみが分かって二胡を弾くと、疲れないし、演奏もよくなると思いました。
②今後やって欲しい講座
左手編、期待してます❤️
あこがれのワークショップに参加できてうれしかったです。
【いのうえから補足】
※換弦は、今回のワークショップの範囲ではなかったのですが、ワークショップ終了後の質問コーナーで出たので、みんなでやりました。
☆ハル様
①印象に残った内容
頭の傾きセンサーがあるなんて・・・※ 初めて知り、なるほどーと思いました。色々発見もあり、これから練習や日常生活に活かしていきたいです。
ついつい力が入り肩~指まで硬くして痛めてしまうので、今日習ったことを意識して、ホワホワと力を抜いて楽に楽しく二胡を弾けるようになりたいです。
②今後やって欲しい講座
次回左手を楽しみにしています。
【いのうえから補足】
※後頭下筋群のことです。いまちょっと調べてみたら、こんな文章がありました。
ちょちょっとググっただけなので、この論文の位置づけなどは分かりかねますが、自分用のメモとして貼っときます。
頸椎は特殊感覚の機能を保証するため,それらの機能と綿密に協調する必要性がある.そのため,頸部の筋は他の部位よりも固有受容器である筋紡錘が多く,感覚運動制御の情報を伝えている.とりわけ頸部深層筋は筋紡錘の密度が高く,関節よりも多く存在していることから,長さや張力などの変化を詳細に感知するセンサーとしての機能が大きいと考えられる.
「頸椎スタビライゼーションエクササイズが重心動揺に与える影響」
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/HO/0013/HO00130L011.pdf
☆MF様
②今後やって欲しい講座
皆さんの二胡への熱心さ※に私ももっとがんばろうと思いました。今日はありがとうございました。
【いのうえから補足】
※ワークショップ前は情報交換会みたいな感じで、みなさん、ほとんど初対面だったのに和気藹々でした。私自身も、緊張がほぐれて助かりました!
☆お名前無記名様
①印象に残った内容
骨や筋肉の動きと、腕の動きの連動のしくみがよくわかりました。
二胡を弾く時にも意識すれば、ムダに力が入って、かえってギコチナイ演奏になることも防げると思いました。
とても役に立つ内容でした。
ありがとうございました。
②今後やって欲しい講座
立奏する時のポイント(身体の動きなど)が知りたいです※
【いのうえから補足】
※「立奏したい」という生徒さんのサポートはしたことがあるのですが、私自身は、人前で立奏で演奏したことはありません。今後の探究課題にしたいと思います。
ご参加の皆様、ほんとうにありがとうございました!