マンツーマンの「楽器編」、ふたたび
コロナ禍はおさまる気配がありません。
2020年3月5日、「ワークショップ:楽器編」の参加者は、キャンセルもあって、けっきょく1名でした。
その当日、「4月にはもう落ち着いているかも・・・」と思って、4月1日午後の「ワークショップ:実践編」の同じ日の午前中にも教室を予約し、一日通しで「楽器編」「実践編」を通してやってみることに。
しかし、日が経つにつれ、増えていく感染者。
状況はかえって悪くなる一方。
ワークショップを開催するかどうか、迷いに迷いましたが、最終的に「とりあえず自分ができる対策を取って、あとは生徒さんの判断にまかせよう」ということにしました。
私ができること・・・・とりあえず三密は避けよう!
区民センターに電話して、ワークショップ会場を、窓がほぼない(小さい窓はあるらしい)第1会議室から、ちょうど空きがあったチャレンジスペースに変更してもらいました。
あと、家にある消毒用エタノールの残量も少なくなってきたので、無水エタノールを精製水で割って、エタノール消毒液を作成しました。
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そして当日。
3月のワークショップの日と同じく、4月のこの日も、外は雨・・・。
ワークショップのときは荷物が多くて、雨が降っているとなかなかしんどいですが、この雨がちょっとはウイルスを洗い流してくれたり、湿度で弱めたりしてくれたりするんやろかと思うと、気分も変わる感じがしました。
そして天王寺区民センターに到着。午前中に予約に来たことはあるけど、部屋を使わせてもらうのは初めてだし、チャレンジスペースに入るのも初めてです。
恐る恐るカギを開けると、わあ・・・
広々とした空間が心地よい・・・。窓が大きい・・・。
向いのお寺の桜が綺麗だ。
このたった数人で二胡を楽しむ小さな時間を、いったいいつまで続けられるのか。
(自分注:けっきょく、続けられませんでした)。
そんなことを思いながら、椅子や机、そしてこのスペースは土足禁止なので、スリッパも含め、手の触れそうなところをシュッシュ、シュッシュと消毒しました。
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そして、午前中の「楽器編」が始まります。
今回で3回目になりますが、2回目からピタゴラス音律の説明をするのに、長~いカラー付箋をホワイトボードに貼り付けながら、3分の2の長さにしていくように変更しました。
しかし、この付箋は前回よりもかなり粘着力をうしない、ホワイトボードに貼っても「たら~ん」と垂れ下がってくるので、やむをえず、磁石でとめていきました。
楽器編はちょっとわかりにくいところもあると思うのですが、なにしろ一対一なので、説明した内容について、こまめに確認しながら、ゆっくり進めることができてよかったです。
なかでも、ハーモニクスの時とそうでない時と、指に感じる弦の振動の感じが違う、という部分では、参加者の方がそのことを実感できるまで、繰り返しやってみることができました。
そして何度目かの時に、「あ、振動が違う!」と驚きをともなっておっしゃってくださったのです!!
それがほんとうにほんとうに嬉しかったです。
視覚・聴覚・筋感覚(自分の身体のどこがどのくらい動いたのかという感覚)に合わせ、「触覚」も新たに加わった瞬間でした。
今後、楽器をひくときに、他の感覚も合わせてこの感覚も使えるようになればいいですね。
ニンゲン、使えるモノはなんでも利用しちゃいましょう!
そして・・・初めての「実践編」
楽器編が終わってお昼。
私はちょっと朝にバタバタしていたので、梅干しおにぎり1個とバナナ一本という蘇軾ーいや、粗食でした。
(そしょく、と入力して蘇軾に変換するなよ・・・と思いますが・・・。)
粗食を食べつつ、参加者の方と「のり談義」に花が咲きました。
私が、味のり(できたら韓国のり)でカマンベールチーズの切ったのを巻いて食べると美味しい、とお伝えし、一方、参加者の方は、ふつうの四角い薄いチーズ(名前忘れました。プロセスチーズでしたっけ?)→のり→チーズ・・・と何枚かミルフィーユのように重ねて、それを上からさいの目に切って、1つずつつまようじかなんかに刺して食べるというおつまみを紹介して下さいました。
そうこうしているうち、午後組の方が到着。
予定した5名のうち、お2人がいらっしゃらなかったのですが、実は前日にそのお2人に個人レッスンでお会いしていたのです。
そのときに、この日の出欠を改めて確認しようと思っていたのですが、レッスン内容に気を取られてしまい、すっかりそのことを忘れてしまいました・・・。
大事をとってお休みになったかもしれないし、あるいは、私が何も言わなかったから「中止なのかな」だと解釈なさったかもしれないし・・・
ほんとうに大事なことをすぐ忘れてしまう自分を、心の中で「バカバカバカ!」とののしりながら、とりあえず時間が来たのでスタートしました。
また数年間くらいインターバルをおいて、このシリーズのワークショップを実施する予定なので、その時はまたお声がけさせていただこうと思います。
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ということで、4人のあいだに適度に距離を置きながら、ワークショップが始まりました。
今回の実践編は、総集編のような位置づけです。
「右手編」で軸と右手(主に腕)
「左手編」で左手(主に手や指)
「楽器編」で二胡(弦楽器)のしくみを学びました。
で、「実践編」では、身体のマッピングに「脚」を加えたあと、さらに右手+弓、左手+弦の組み合わせを中心に、改めて復習していきます。
そこから、換弦・強弱・換把などの具体的なテクニックと結びつけていきました。
今回、初めての「実践編」だったので、所用時間がちょっと読めなくて、万一時間が余ってしまった時のために「快弓チェックリスト」というリストを作りました。
これは、いままでワークショップで何度か要望のあった「快弓」について、どういうふうに練習を進めていくかという「見取り図」の例を書いてみたものです。
その見取り図の中には、これまでワークショップでやったことも織り込みました。
で、実際に練習をするときに、そのシートをみながら、なんらかのヒントにしてもらえば、と思ったのです。
今回、それは使わずにすみましたけど、あとで寄せて頂いた「感想」を見ると、やっぱりそれが気になった、という声もありましたので、また機会があったら、なんらかの機会にこのリストをまとめ直してみたいと思います。
そして、今・・・
そうしてワークショップは終了。
雨と荷物のため、いつも区民センター帰りに行う「一駅ウオーキング」は省略し、すぐ地下鉄に乗りました。
家に着いたら、いったん玄関に楽器と荷物をどさっと置き、軽く水筒のお茶を飲んでから、すぐ近所のドラックストアに行きました。
自分としては、これは靴脱いで家に入ってないから、手洗い・うがいは省略!ってことで。
しかし、しばらく歩いて、マスクをしわすれたことに気づいたのです。
あ、さっきちょっとお茶飲んだときに外しちゃったんだ・・・。
まあ、シャンプー詰め替えを1つ、ちゃっと買ってすぐ帰るからいっか・・・。
で、レジで「袋いりません」てシャンプーをだしたら、レジの方が私をちらっと見て、「大丈夫ですか? マスク売ってますよ」と声をかけてくれたのです。
とっさに「あ、家にあるんですけど、つけんの忘れてきてしまって」と答えると、笑顔で「そうですか」といいながら会計してくれました。
よくドラックストアの店員さんがしんどい思いをしてる記事を見かけるので、より一層、この温かい心遣いに感動してしまったのです。
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区民センターはキャンセルを受け付けてもらえましたが、貸し教室の方はキーボードや譜面などを置かせてもらっているため、固定費はしっかり出て行きます。
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以下は、ご参加いただいた方々の声です(掲載可の方のみ)。
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☆haru様(実践編ご参加)
受講してる時は「ほほぉ!」と納得してるのに、次の回に前回の復習をされると、また「ほほぉ!」と納得します。
それを3回繰り返して頂いたので、そろそろ頭と身体が繋がってきてもいい頃?だと思いますが・・・むにゃむにゃ。今回の実践編をもとに、日々の練習で身体に染み込ませていきたいと思います。
あと、右手の手首が上がる癖が何故なのか。どこを意識すればいいのかが理解できたのが大収穫です。有難うございました!
私の時間切れで、「快弓チェックリスト」が出来なかったのが残念です。また機会があればよろしくお願いします。
【いのうえより】
いえいえ、いろんな動きや経験をシェアしながら進めていった今回のワークショップ、ほんとうに楽しかったです。
途中で、ちょっと遊び感覚で、楽器を置き、みんなでロールダウンをやってみたのですが、もうお三方全員の身体がやわらかいこと! みなさん、膝を伸ばしたまま、軽々と床に手が着きます。なかでもharu様の柔軟さ、しなやかさにはほんとうに驚かされました・・・。
なお、本文にも書きましたが、「快弓チェックリスト」の内容の多くは、実は、これまでワークショップやグループレッスンでやってきたことの寄せ集めになっています。
もしお時間があったら、「これは、●●編で(or あのグループレッスンの時に)やった、あのことかな~」などと考えながら、ご自分でも1つずつ、ゆっくり、見ていって下さいね。
☆にこにこ様(実践編ご参加)
コロナの影響か、参加者は一緒に二胡のボランティアしたり楽しんでる仲間三人でした。身内のような気やすさで、自然体でワークショップに参加させていただきました。
最近、以前は出てなかった雑音や音が途切れたり擦れたり、悩んでいたので、実践編はとても有り難いワークショップでした。姿勢、重心をかける感覚から始まり、前にもワークショップやレッスンで教えていただいたこと、忘れてたことも思い出したりしながら、より深く理解、気付きを得ることができ感謝しています。
姿勢、重心、右手、左手、弓の持ち方、小指、運弓ほんの少しの加減、バランス、力の入れ方、向き、スピード、音の強弱、換弦、換把、高音の出し方、などなど、実践編のタイトル通り、演奏に即繋がるエッセンスを沢山学びました。一人ずつ見てくださって、理に適ったやり方での変化を実感でした。
潰れた音やかすれた音になるのには、理由がある。何がそうさせていたのか。参加して、最近悩んでいたことが改善されて、嬉しく、喜んでいます。
高音の奏で方も腑におちました。
ありがとうございました。
頭で分かったつもりでも、実際やってみるとうまくできなかったり、よく忘れるので、出来るように練習しようと思います。
ワークショップ終わってから、今練習している曲も教えていただき、ありがとうございました。習ってホヤホヤ、曲で再確認もでき、ありがとうございました。
姿勢のお話しで、演奏の時の椅子はポイントの一つと思います。私自身、二胡の練習でお尻が沈み込む椅子から座面まっすぐ平面の木のスタッキングチェアに変えたら、坐骨でしっかり上体を受け止めて弾きやすくなった経験や、座椅子の代わりに、発泡スチロールのブロックを利用するのも良かったお話をしました。要領悪くて、時間取ってしまいごめんなさい。
ブロックは自然に坐骨に体重預けれて、仙骨や骨盤が立ち、内臓も楽で、姿勢も自然に良くなるのを実感します。普段の椅子も、気をつけたら演奏に良いのはもちろんですが、腰痛予防になるかなと思ったりしています。
後ろで高さ調整できるピアノの椅子は理に適ってるなあと思いました。
先生が用意してくださっていた快弓のワーク、是非、続編をお願いします。
感想長々と、失礼しました。
***
最近なぜ不調になっていたか、その原因ではとその後気付いたことがあります。週二回していた太極拳レッスンがコロナ感染防止で1ヶ月以上も休みになり、全く練習してなかったからではないかと思います。大好きな太極拳なのに、このたびは何故か家でもやっていなかったのです。
太極拳は、力を抜いて、ゆっくり意識して動く、手の動きと呼吸が合っている、沈肩垂肘、用意不用力、他にもいろいろな大切なことが二胡のレッスンやワークショップで共通しているなあと感じています。ワークショップの後、久しぶりに公園で太極拳し、重心移動やバランス感覚、ゆっくり動く時の滑らかさなど、以前のようにできなくなってる、体幹も感覚も衰えていると痛感しました。
以前から、大切なことが共通してるなあと思ってはいましたが、今までやってきた健康の為の太極拳の練習が二胡の演奏にも役立っていたことが、コロナで太極拳を休んだおかげで証明された気がしています。
二胡も太極拳も、これからもずっと続けて、楽しみたいです。
ご指導宜しくお願い致します。
【いのうえより】
いえいえ、椅子のお話をシェアしてくださって、ありがとうございました。
椅子の選択って、けっこう大事なことなんですよ。
それはともかく、本当は***より上のみが「ご感想」だったのですが、私の方から無理にお願いして、***より下に書かれていることも掲載させていただきました。
私は太極拳に関しては全くのシロウトなのですが、NHK「ためしてガッテン!」などでとりあげられたように、太極拳の動きは全身の協調運動だと言われています。身体全部が少しずつ、常になめらかに動き続けているそうです。
それは、「部分だけに集中」「直接そこを動かそうとする」「習慣・無意識に動く」というやり方ではなく、意識的に、心身を含めた自分全体の協調作用を重視し、間接的にどの部分もより自由に動いていく状態にするアレクサンダーテクニークの精神(※)に通じるものがあると感じました。※以上のことは、今現在の私が、個人的な解釈を元にしてまとめただけなので、他の方はまた違う言い方をするでしょうし、今後の私がまた違う表現をすることもありえます。