6/23二胡を楽しむワークショップ:練習編①報告

決めるのって難しい・・・

コロナ禍はおさまる気配がありません。

2020年4月1日の「二胡を楽しむワークショップ:実践編」で、おもに「からだ」に焦点を当てた一連のワークショップ(右手編・左手編・楽器編、そして実践編)はいったん区切りを付けることにしました。

そしてそのうち「こころ」に目を向けたワークショップを、ということで、2021年5月19日に、天王寺区民センターのお部屋を予約していました。
しかし、4月25日から5月11日までとされていた緊急事態宣言が延長され、5月31日までになったので、どうするかの決断を迫られました。

当初は、緊急事態宣言が延長されたらオンラインにしようと思っていたのです。中国語やグループレッスンはすでになんどもzoomを使ってのレッスンや授業も行なっています。
GWには、主催ではなく参加者の側ではありますが、BODYCHANCEで一週間ほどzoom合宿も行ないました。その中には、オンラインでの学びにフォーカスするような数多くのレッスンもありました。

しかし、初めての新しい内容で、しかもワークショップをオンラインでやるのはなかなか難しく・・・対面でもオンラインでもできるようにと両にらみで組み立てを考えていましたが、まったく準備が進みませんでした。

グループレッスンでのオンラインも、ちょっと間を取ってタイミングをみながら発言していただくのがすこし窮屈だったり、ホワイトボードなどの使用する授業やレッスンも行なっています。やはり初ジャンル?のワークショップを初めてオンラインでするのは、ちょっと危ないかな、と。

ということで、日付も方式も迷いながら、ぎりぎりで6月23日への延期を決断したのです。

しかし23日の部屋に予約を入れた当時は、5月末までの緊急事態宣言がいつまで延長されるのか分からない状態でした。
だから、もしこの日程もまた緊急事態宣言にひっかかったら、もう再延期はせず、オンラインにしようと腹をくくったのです。

のちほど、延長は6月20日までと分かって、ギリギリセーフ。
対面でできる!という見通しがたってはじめて、やっと準備に本腰が入り始めました。

すべての組み立てができあがったのは、なんとワークショップの数日前だったのです。
ほんとうに、なにもかもがギリギリで、なにもかもが綱渡りでした。

久しぶりのワークショップ

直近のワークショップから1年以上も空きました。
グループレッスンも対面はしばらくありませんでした。

みなさんの久しぶりの再開が、このワークショップの場になりました。

さて、この「二胡を楽しむワークショップ:練習編①」。
「こころ」をテーマにしたのは、このワークショップが、BODYCHANCEでアレクサンダーテクニーク講師資格を取るために必要な、TB(シンキングボディ)と言われる単位の一つでもあったからですが、何より、自分自身が本当にやってよかったと思いました。

そもそも、「こころ」と「からだ」なんて切り離せず、一体のものだというのがアレクサンダーの基本的な考え方なのですが、このシンプルなようで、スポーツだの音楽だの日常生活だの肩こりだの自己啓発だの、なんにでも応用が利くアレクサンダーテクニークは、きっと一生を掛けていろんな探求をしていく価値があるものなのですが、「なんにでも使える」だからこそ、そのままではあまりにも捉えどころがないんです。

だから、それをいろんな切り口のなかから、「二胡」をとりあげ、そのなかから焦点を当てるサブテーマを「からだ/こころ・思考」にざっくりと二分しました。

で、2018年から2020年まで、「からだ」に関わる4つのワークショップ(右手編・左手編・楽器編・実践編)を数回開いてきました。
そして今年から「こころ・思考」に切り替えるうえで、まず何から取り上げようと・・・そこで、当初は「練習」という仮テーマを設定しました。

まだ構想が十分に固まっていない、というのもあって、なんでもどうとでも詰め込める?テーマをとりあえずかかげとこう、というのもあったのですが、なにより、音楽に親しむ時に必ず向き合うだろう「練習」って一体なんなのかって考えることは、しかして一番大事なことかもしれないと思ったからです。

ここまで内容をしぼっても、なお「練習」というテーマはやはり多くのものを含んでいます。それを絞りこむのに、準備期間のほとんどを費やしたような気がします。
前に述べたように、最終的に形が定まったのはワークショップ本番の数日前で、ほんとうに直前まで呻吟しつづけました。

で、けっきょく、最初「練習編」としていた副題を「練習編①」と変えて、この巨大なテーマを2つのポイントに分けて探求してみました。

なにをやるのか・どうやるのか

前半は「練習」って何をやるの、ってところです。

これは、「からだ編」の4つめの「ワークショップ:実践編」で、時間が余った時のために作っていた資料があって、それを思いっきり増補しました。
心の中では、「もし後半の内容が失敗?しても、この資料を何らかの形で使ってもらえるだろう、というもくろみがあったのです。

私はワークショップ当日に、家のパソコンからレジュメとその資料をプリントアウトし、それを区民センター事務所でコピーしていただきました。
で、センターの方から受け取ったときに、重大なことに気づきました。

資料のプリントアウトしたとこ、1枚目のページ間違っている!!!

なんてこった・・・しかし、もう家に帰ってやり直すわけにはいかず・・・。
仕方なく、その場で紙を折って半分に切り取り、2ページ目だけ配布しました。
んで、1ページ目の内容はその場でホワイトボードに書き、のちほどPDFで送るということにしたのです。

なんという失態・・・ほんまに、自分のアホさに愕然としたのでした。

で、休憩後は「どうやるのか」というか、そのときのポイントをいくつかお伝えしたのですが、その中心には2つのことがありました。

一つめは、私が個人・グループそして自分自身が練習するときに大事にしているいろんなこと。

二つめは、アレクサンダーテクニークの創始者であるアレクサンダーがその根本となるアイディアを発見するプロセス(アレクサンダーストーリー)。

そして、その2つを「変化のコンパス」のプロセスの中に埋め込んだのです。

変化のコンパス

「変化のコンパス」(これって©が入るのだろうか?)とは、私なりに説明してみると、BODYCHANCEの校長のジェレミーさんがアレクサンダーストーリーを既存の図式?を応用して示したものです。

このコンパスによってアレクサンダーストーリーは普遍化され、ある曲のあるフレーズがひけるようになる、というちっちゃなことから、人生という大きなことまで、大小・各分野様々に応用できるようになりました。

この「変化のコンパス」については、まだいろいろと分からないところがあります。
しかし、それを私なりに解釈し、アレンジして、参加者のみなさんに提示してみました。

私は、BODYCHANCEの課題としてこのコンパスを応用したエッセイを書いたのですが、その時に、自分が二胡講師として現在地に立つまでのプロセスを子どもの頃にまで遡って、じっくり考えてみたときの体験もシェアしました。

それを通じて、私自身、これまで個人レッスンやグループレッスンで心掛けていたことを改めて見直すとともに、日頃接していた皆さんのいろんな思いや考えの一端を知ることができたのです。

結果的に、今回は一連のワークショップの中で初めて、楽器をぜんぜん使わなかったのですが、みなさんはみなさんなりの感覚で、みなさんなりの方法で、これらを受け止めてくださったのです。

それは、私にとって、深い感動をもたらしました。

皆さんと楽器の付き合いが幸せなものであるために、このワークショップがほんの少しでもお役に立てますよう、祈るばかりです。

↓は当日の区民センターのロビー。5月と7月のしつらえが同居していました。

↓今回はチャレンジスペースで。

(以上の文書は↓の2021年6月24日の自分のツイートを大幅に加筆訂正したものです)

以下は、ご参加いただいた方々の声です(掲載可の方のみ)。


☆Y様

練習という単調になりがちな事を「変化のコンパス」で立体的に分析して、いかにして好奇心を自分のものにしていくのかがとても分かりやすく、又自分のものになった時の達成感、満足感が次への期待、情熱に繋がっていく、それが上達していく原動力になっていくのだと。

今までのレッスンで漠然と聞いていた事が、自分の考えで組み立てる事が出来るアドバイスに感謝します。そして好奇心を忘れ無いように単純にしないように心がけたいと思います。

気づきに感謝します。ありがとうございます🙇

【いのうえより】

ご感想ありがとうございました!
みなさんの文を読んでますと、私よりずっと本質的な理解をなさってて、知識を実践に活かすすべを持ってらっしゃるんだと、心から感心いたしました。

そう、コンパスをぐるっと一周して、また次の望み、情熱へとつながっていくんですよね。

資料も、ほんらいならその場でお配りするはずのものでした。ほんとすみません。でも、ちゃんとダウンロードできたようで、良かったです。


☆すっぴん

楽器を持たずにやる練習が、とってもたくさん多岐にわたってあること。

二胡には一度も触らなかったのですが、多岐にわたり、内容深くて、これからのチャレンジや練習に取り入れたい。持たずにやる練習は、楽器の音を出しての練習を助ける土台になる、さらに成長できる力になると感じました。

楽器を持ってやる練習も、いろいろな工夫をして練習できる、苦手克服、様々な練習の仕方がある。持ってする練習、持たないでする練習、どちらも大切。
弓使わず、指のタッチの仕方で出る音が違う実演。
掌が小さくても、うまく指が開く工夫。

[変化のコンパス] ○と△、九つに分けた過程の整理、お話わかりやすくて、とても納得、理解が深まりました。

アレクサンダー・テクニークやBODYCHANCE, 先生の歩んでこられた思い出、お話、ありがとうございました。
自分の思い出もよみがえりました。

無意識に流れている習慣を変えるには新しい水路を掘る。何度も何度も意識して繰り返すこと。新しい水路は上書きではない。

二胡との出会い、夢やその当時の情熱を思い出しました。二胡を通して素敵な出会い、皆様とのご縁に感謝です。お話をシェアしあえ、それぞれにその時の状況や気持ちシェアしあえて、貴重なひとときでした。

改めて練習にフォーカスされた充実のワークショップ、開いてくださって感謝しています。
仲間と参加できて、嬉しく幸せです。

このワークショップでの気付き、意識して、新しい水路を掘り、夢を持って二胡を楽しみたいです。[変化のコンパス]は、二胡に限らず大切なコンパスだと思います。好奇心失うことなく、チャレンジを楽しみ、成長したい。

これからもご指導よろしくお願いします。

【いのうえより】

すっぴん様のことばをたどっていくと、あのときになにを話し、なにをやったのかということを、まるでスライドをみるように思い出すことができました。

そうそう、いちおういろいろ準備していくんだけど、その場でふと思いついて別のことを話したり、脱線したり、ほんとその場その場でどんどん変わっていく・・・・それが、「セミナー」ではなく「ワークショップ」の醍醐味だと思います。

また、↑にも同じようなことを書きましたが、ご感想を読んでいると、伝えたいと思ったことが、私の意図する以上にみなさんが豊かに・しなやかに受け止めてくださっているんだな、ということをしみじみと感じました。


☆I様

楽器をもたない時間、じっくりと考える時間で、あらためて二胡に向う楽しさを感じました。
今は楽器をもたない時間の使い方をする頭と体力が不足していますが、
こんなやり方があるとわかっていると少し焦りも薄らぎます。

ワークショップでの感想ですが、うまく表現できなくて・・・。
8と9のスタートに、動機に戻ることですね。
情報集めのヒントをファイルをありがとうございました。
漫画もコッソリありがとうございます(*^▽^*)

昨夜、テレビで世界一のバーテンダーさんが出ていました。
すごいあがり症を多くの準備で克服した内容がよく似ていました。
多くの準備と練習量が自分の信頼となって緊張を乗り越えたそうです。
先生のファイル、世界に共通です!

ワークショップの感想で、信頼に発見があったと言いました。
自分、楽器、等々やればやるほど全てに不安不信感でいたので・・・。
仲間の皆さんは楽しそうでいいなあと、一緒に楽しむ気持ちを楽しむ努力を頑張っていたようです。
意識をもっていく方向がずれやすい自分に笑えます(笑)
何度も何度も8と9を探すこと、みつからなくても探す行動が諸々のモヤモヤから解放されるかも。
と、メールを書きながら、また前進するきっかけにたどり着いた感じです。

文字にする、人に話す、自分から離れると少し視野が広がるものですね。

コロナの時期、世間から遠ざかると気づかずに固まっているのかも。
ワークショップの時間は、今振り返るととても大切な時間だったと思いました。
参加させていただきまして、ありがとうございました。

【いのうえより】

I様は、ワークショップ当日に参加者のみなさんでシェアしたときも、「信頼」について述べてくださっていました。

そして、自分や楽器に対する不安や不信感があったことを記されています。それを読んでいて、まさに最近の自分にも、一番欠けていたのがこの「信頼」であったと改めて気づかされたのです。

私の場合は、自分や楽器・音楽のほか、最近加わった「ティーチング」がまさにそうでした。

「ティーチング」とは、BODYCHANCEのレッスンのときに、他の方に生徒役をお願いして、「アレクサンダーテクニークを教える」ことそのものを練習することです。
「積極的に練習していこう」という情熱(コンパスのひとつめの力)はありました。


それを丁寧に、辛抱強くサポートしてくださるBODYCHANCEの先生方(コンパスのふたつめの力)もいらっしゃいます。


そして、「とにかく手を上げてティーチングを練習しよう」というベビーステップを設定し、それ以降、とりあえずその目標を毎回達成することはできています。

でも、達成してはいるものの、得た学びを自分の糧にしようと「頑張り」つつ、どうしてもその「学び」を、じゃまするものがあるのです。
それが、「自分が信じられない」ところから来ていたのです。

私に足りないのは、信頼(コンパスのみっつめの力)でした。

ティーチングが終わるたびに、自分自身がみじめな気持ちになるのを止められませんでした。
いや、終わるたびにではなく、始める前からすでにそんな気持ちになっていたのです・・・・

ある日、帰り道の途中にティーチングのことを反芻しつつ、とても暗い気持ちになりながら信号待ちをしているとき、私はふと思いだしたのです。

このワークショップで私自身が提示した方法を、いま私自身がちゃんと使おう。
それを使いつつ、自分のできることを、できる範囲で、ただやっていこう、と。

まずは、「自分で自分を教える」。
そこから、始めたいと思うのです。


貴重なご感想をありがとうございました。掲載の有無にかかわらず、ひとつひとつじっくり目を通しました。
こうやってシェアしていただくのも、自分の心のうちにそっと留めておくのも、どれもステキなやり方だと思います。

ワークショップをより安心な場にするために、ちょっと写真を撮るのもひかえようかな、と思うようになりました。
私にはなかなか難しいことですが、「どうやったら参加者の方々に、YESだけでなくNOもいいやすい環境にできるかどうか」について、これからももっともっと考えていきたいと思います。

みなさんお一人お一人さんの振り返りには私と重なるとこがたくさんあり、きっと、なにかに取り組む多くの方々(その中には私を教えてくださっているアレクサンダー講師の方々を含みます)の共通の課題なんだと思いました。そこに、自分だけじゃないんだな、という共感が生まれます。

一方、共通のこともありながら、そのひとそれぞれがこれまで重ねてきた人生の体験は一人一人異なります。違う立場、違う性格の方々と触れ合うことで、自分には想像もしなかった多くの発見があるでしょう。
共感と発見、そのどちらも、みなさんが私にもたらしてくださったことです。

この出会いに、ほんとうに心から感謝しています。

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