二胡の解体&琴托のやくわりーーその1

《コンテンツ》

●忘れものにはご注意!

●琴棹が通る道

●唯一無二の楽器

忘れ物にはご注意!

先日のグループレッスンは、リクエストにお応えして、マグロならぬ二胡の解体ショーとなりました。

それは、ある時「私の二胡の先生が北京で張韶先生に学んでいた時に、二胡をバラす→組み立てるという過程を何度も繰り返したことがある」という話をしたことがきっかけでした。

当日は、いま使ってる二胡を解体するのはちと怖かったので、使ってないレンタル用二胡を解体用に持っていったのです。

通常のグループレッスンもやりつつ、換気のためドアや窓を開け放して音が出せない休憩中を利用して、解体に取りかかることにしました。

↓は「まな板に鯉」状態の二胡さん。

まずは手始めに、弓と弦と駒とフェルトを取った状態がこちら。

こっから先に進むのは何年振りだろうか…と思ってたら、琴托を外すのにドライバーがいるということに気づいたのです。

しかし、持ってくるのを忘れた・・・!自分のバカバカ・・・!

往生際悪く、手元にあるものでなんとかならんかなとしばらく試行錯誤していましたが、ふと思いついて、部屋を飛び出して、当日の会場である港区民センター(当時は天王寺区民センター改修中につきあちこち流浪していた)の窓口まで走って行きました。

「すみませ~ん!ちょっとドライバーをお借りしたいんですけど・・・」

そう声をかけると、職員の方が奥の方からいろいろな大きさのドライバーを持ってきてくださって、そのひとつがちょうど琴托のネジ穴にぴったり!

こころよく貸してくださって、本当にありがとうございました!

琴棹が通る道

ほんでドライバー使って琴托を外し、琴杆を引っこ抜いた結果がこちら。

まずは琴托を外さないと絶対に見られないところを、みんなでじっくり観察します。

↓は琴棹を差し込む穴を上からみたところです。

穴は楕円形というか、しずくみたいな形になっています。

そして琴棹は琴筒の中を通って、下に貫通するのですが、その穴は四角いです。

↓の写真では、

その四角い穴が見えるよう、琴筒を裏返していますが、ここから顔を出した琴棹の先が、

↓の琴托の穴にすっぽり入って、固定されるというわけです。

ちなみに、琴棹の先はこのようになっています。

唯一無二の楽器

その次に、琴筒(共鳴胴)の中を、琴棹を通す穴から交互に覗き込んでみました。

真っ暗な中に、かすかに浮かび上がる手書きの文字。

なにか、番号が書いてあるようです。

さらに、蛇皮の方にも、なにやら赤い文字が見えます。

中国の書類によく押されている、あの赤くてまるい判子(といって通じるでしょうか?)に似ています。

それを撮影しようとして、みんなで「あーでもないこーでもない」と四苦八苦したが、うまく写すことができません。

そこで、私のスマホのライトで皮の外から照らし、別の方に琴棹の穴から共鳴胴の中を撮って頂くと、うまくいきました。

それが、↓の写真です。左上に赤い判子の輪郭が、そして「62」という手書きの番号がくっきり写っていますね。

(あとで送っていただきました。ありがとうございます!)

この番号ですが、実は、琴筒の外にも、琴棹の根元にも書いてありました。

この二胡にはなかったのですが、別の二胡では、琴軸にも番号が書いてあるものもあります。

二胡は工業製品と違って、一つ一つの部品が手作りなので、パーツとパーツの組み合わせ部分がぐらつくことなくぴったりハマるよう、非常に細かいところまで微調整されています。

そのため、たとえ同じ品番の二胡でも、違う番号のパーツだと、うまく噛み合わないのです。

つまり、いま皆さんのお手元にある二胡は、たとえ他の方と同じ品番のものでも、文字通り「唯一無二」のものなんですよ!

(この項、次回に続きます。次のお話は、琴托が二胡につけられたのは意外に最近だという話と、その開発には劉天華の弟子が関わっているという内容です。お楽しみに!)

※上記の記事は、下のツイートを再編集したものです。

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