《コンテンツ》
●思い込みは厳禁!
●買い物難民
●センスってなんだろう
前回「椅子って大事――観峰館の学び②」において、極端に低い椅子に座ると、ジーンズではすごくひきやすかったのに、本番で衣装を着ると、足回りの自由がきかず、弓がひっかかったりして、
衣装は上半身、つまり腕がダイナミックに動かせるかどうかばかりが気になってたが、下半身の自由度も大事
だということを書きました。
まあそれが結論なのですが、そのまえに、自分のいさめとして、今回の衣装をめぐる顛末を書いておこうと思います。
なにごとも事前の準備が必要なことは言うまでも無いですが、私は大失敗してしまいました。
思い込みは厳禁!
私は複数の仕事をかけもちしてなんとか暮らしていますが、その割に時間管理が致命的に下手です。
授業やレッスンなど、日付が決まっていて、定期的に仕事があるもの――つまり目前の〆切に目を奪われ、かなり先の将来のことや、イレギュラーで入った仕事やモノゴトになかなか対応できません。
これは、『張韶老師の二胡講座』を翻訳している時も、すごく苦しんだことでした。
たとえ「一日に何ページ」と自分で決めても、まったく守れず、●●年に出版、という目標がなんども先延ばしにされるたび、自分のダメさを思い知りました。
というか、いい歳して、夏休みの宿題を9月1日の朝にやったり、塾代わりにやってた進研ゼミ(当時の社名)の中三の課題を高校でもやっていたりしたころと、中身はまったく進歩していないのでした・・・。
しかし、演奏の仕事は日付が決まっているので、遠くとはいえ一応〆切がある状態です。それでも、気づいたらすでに4月を迎えていました。
曲目などは割と早めにちゃくちゃくと決めていましたが(しかしこれも、あとで大修正を迫られました。詳しくは「曲目を決める――観峰館の学び①」をご覧下さい)、衣装などはどうしても後回しにしてしまっていたのです。
しかし、ネット通販やとGW中はほぼ稼働しないようだったので、さすがの面倒くさがりの私も重い腰をあげ、4月中旬頃に手持ちの衣装をチェックしてみました。
致命的に入らないものを除いていって、残るはたった2枚。それらをためつすがめつ、着たり脱いだりしつつ、「途中でファスナーがひっかかるけど、後手でやって力が入らんからやろう。多少ハズかしい思いはするけれど、現地でファスナーをあげるのを手伝ってもらいさえすれば、なんとか着れる」という一着を本番用に定めました。
しかし、ほんまに「ちょっと頑張れば着れる」のかどうかの、最後の詰めというか確認を怠っていたのです・・・・。
ある週末、部屋でドレスを着て、途中まで頑張って後手でファスナーを上げた状態で家族を呼び、「コレ、ちょっと上までしっかりファスナーあげてくれる?」と頼んでみたのです。
しかし返事は「そんな次元の問題ではない」でした。
「え?」
「上がる上がらないという問題じゃない。無理にやったら服が崩壊する」
そう言われ、蒼白になったのがGWの一週間前。マジか・・・。
なんとかなると思ったのに・・・・。
思い込みは厳禁!を心底痛感しました。
買い物難民
慌てて通販サイトを検索しまくり始めた私。
しかし、チャイナドレスは取り寄せがほとんどで、だいたい「入金確認後、営業日7-10日に出荷」とあるのが多かったです。
この「営業日」というのがくせ者?で、だいたいGWは休みなので、連休突入直前の4月下旬の状態ではギャンブルすぎて危ない。もし、一度着てみて、ダメだったらアウトだからです。
さらにしつこく検索したら「3-4営業日に出荷」で、かつショップの営業カレンダーの5月3、4、5日が休みになってない店が見つかりました。
あまり気の進まない服でしたが、背に腹は代えられないとショップに問い合わせてみると、「この商品のお届けは◯日以降になります」との返答。
え、GWは営業するんちゃうの? それじゃ全然アカン…。恐らく、カレンダーがキチンと更新されていないのでしょう。
いっそ神戸の中華街とかに行くか?
しかし、ここで「サイズ」の問題が立ちはだかります。
チャイナドレスはすごいぴったぴたなデザインが多いので、サイズは2つくらい上じゃないと危ないのです。背が低い私は、平服はMですが、Lでもちょっと危ないくらい。LLとかXLとか、とにかくどこかがキツくて演奏に支障があるとか、そもそも入らないとかだと怖い。
あまりサイズが大きすぎると変な感じになる可能性もありますが、入らないよりもマシです。
しかし、まったくウエストがない、絶対安心なデザインのドレスとなると、下手するとマツコみたいなシルエットになってしまいます。
安心のためにどうしても2~3サイズ上のを検索しますが、実店舗なら、大きめのサイズが店頭にあるかどうか分からないし、神戸とかまで行って、まる一日つぶして、見つからないという可能性もある。練習もせなアカンのに…
太ってしまった自分を恨みつつ、ネット店舗だけでなく、メルカリやヤフオクにも手を伸ばして検索しまくりました。
一か八かコレにするか・・・・
う~ん、どうしてもデザインが気に入らない。
けど、こっちのはウン万円もする。もうギャラの倍以上かかってしまうやんか・・・いや、ここで妥協するんか? それに、まだ使う機会もあるかもしれんやん・・・いやいや、また太ったら着れなくなるで・・・・んじゃこっちにする? う~ん、写真でみた観峰館のステージにコレだと、ちょっと安っぽすぎる?? どうしようどうしよう・・・・
ただでさえ優柔不断な私、数日にわたって、ブラウザの無数のタブを開いた状態で数日のあいだ呻吟したうえ、さらにスマホを駆使したうえ、なんとかメルカリで現物を入手できたのが、5月7日のことでした。
センスってなんだろう・・・
このブログは、私の経験や学んだことなどが、なんかしらみなさんのお役に立てば・・・という気持ちでシェアしています。
しかし、今回は最初から最後まで、ただの愚痴になってしまいました。
自分の計画性のなさ、そしてセンスのなさ・・・。買った服と、手持ちのアクセが、まったく合わないのです。さらに、靴まで買う余裕がなかったので、もしかしたらチグハグやったかも(ロングスカートだからあまり靴が見えないのが救いっちゃ救いだけど)。
というか、私は何となにが合うのかすら、そもそも全く分かっていないのです。
普段の服ですら、毎回何を着ればいいか、上下はどれと組み合わせればいいか分からなくて、やっと妥協して靴下はいて、さあ出発だと玄関で靴を履いたら、なんか靴と合ってなくて、もう一度着替えに部屋に戻ったり・・・などアホなことをしています。
恥ずかしながら、それで遅刻しそうになったことすら、なんどもあります。
なんか、致命的にセンスがないのです。
いぜん、なにかの会に、楽団から複数人が参加して演奏させていただいたことがありました。なんとかステージが終わったあと、一緒に出演したある方がそっと私に言いました。
「その上着とスカート、合ってへんよ」
ハッと表情を変えた私に、その方はおっしゃいました。「演奏前やと気になって演奏に集中できんやろから、今いうた。伝えてた方がいいと思って」
その方とは数年以上ご一緒させてもらったことがあり、人となりは十分分かっています。こういうことって、すごく言いにくいでしょうに、私の今後のために、あえておっしゃってくださったのです。
しかし、その方の思いとは裏腹に、私がそれを知ってもほんとうにどうすればいいのか正解が分からないのです。コレだったらアレが合うだろう、と無い知恵を絞って、この結果なのですから・・・
時々思います。このセンスというのは、もしかしたら音楽的センスに通じるのでは無かろうかと。音楽に携わる方は、みんなおしゃれにステキに見えます。一方、服を選ぶセンスもない私は、きっと音楽的センスにも欠けてるのではないかと。
そういえば、二胡の先生が「どこで演奏するかによって求められる衣装は変わるけど、それだけじゃなく、自分がどう見られたいか、どのような自分を表現したいのかを考えて」というようなことをおっしゃってたことを思い出しました。
ほんと、私はそんな次元のことまで考えぬくことが全くできませんでした。
それどころか、「入る入らない」「間に合うかどうか」という、ただそれだけの服選びになってしまっていました。
けれど、いろいろ考えて落ち込みがちな私ですが、メルカリにドレスを出品した方とのやりとりは、なんとなくあったかいものを感じました。顔も知らない方なのに、文章だけで「きっと良い方だろうな」と思わせるようなほんわかとしたモノを感じたのです。
正確な文面は覚えていないのですが、商品紹介の文のなかに、大切に丁寧にしまってらっしゃったんだろうな、ということもうかがえました。
いくつか問い合わせをしたのですが、とても親切に回答してくださり、取引が成立したあとも丁寧に梱包してすばやく送って下さいました。
しかも、届いたのは思ったよりかなり大きめの箱。価格には送料は含んでいなかったにもかかわらず、ドレスがつぶれないように、ふんわり梱包してくださっていたのです。なるべく安く済まそうと、服なのにギチギチに詰めて送る人も多い中、このお気遣いにはとても心を打たれました。
まさに、メルカリにあの衣装を出品し、問い合わせに親切に回答し、丁寧に梱包してすばやく送って下さったこの方が、私の窮地を救って下さったと言っても過言ではありません。
心から感謝しています!
本当にありがとうございました!
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おまけ: お習字の博物館である観峰館に、こんな音楽関係の文物も置いてありました。
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※上記の記事は、下のツイートを再編集したものです。
(続き)ようだったので、ちゃんと4月中に手持ちの衣装をチェックし「ハズいが、現地でファスナーあげるのを手伝ってもらいさえすればイケる」と踏んでたが、確認を怠り、家族に「そんな次元の問題ではない」と言われて蒼白になったのがGWの一週間前。チャイナドレスは取り寄せがほとんどで、(続く)
— 井上幸紀 (@erhumao) May 18, 2023