●活躍するのは肩・手首
●司令塔は頭―脊椎、そして足も・・・
●実は肘も・・・
ポジション移動について、ことし(2024年)の3月末に旧Twitterでいろいろつぶやきましたが、これまでのブログ記事とも総合しつつ、すこしずつまとめていきたいと思っています。
活躍するのは肩・手首
二胡で高音域をひくために指を移動させる時、空間的には指を下に持っていきます。
このとき、私たちはどうしても「指」という身体のほんの一部分にだけ意識がいってしまいますが、もちろん、空中に指だけがぼーっと浮いているわけではありませんね。
指をもっていくのに、私たちは一体なにをしているのでしょう? まず、腕に着目してみていきましょう。
手は、腕を介して、胴体とつながっています。
もっと詳しく言うと、手―(手首・手関節)ー前腕―(肘関節)―上腕―(肩関節・上腕肩甲関節)―肩甲骨―(肩鎖関節)―鎖骨―(胸鎖関節)―胴体(胸骨)という感じです。黄色マーカーのところが手・腕です。
※詳しくは「腕のはじまり」をご覧下さい。
そもそも、二胡をかまえている段階で、これらの関節をうまく連動させて二胡をかまえながら演奏しているのですが、ポジション移動があるときに、もっとも大きく動くのは左の肩関節です。
ただ、肩関節が動く(第1ポジションから第2~4ポジションに移動する動作は「肩関節の屈曲」といいます)だけでは、指は弦を押さえ続けることはできません。
なぜなら、1つの関節の動きは、基本的に弧を描くからです。
ここで活躍するのは、手首(手関節)です。手首の角度を第1ポジションから変えることで、肩関節が動いたあとでも、指と弦の角度を調節できます。
しかし、この2つの関節「だけ」が働くのではありません。それらの関節はすべて連動して動いています。
さらに、それらの動きがやりやすいように、腕を体幹が支えているのです。
※詳しくは「頭ふんわりとポジション移動」「直線を曲線に変える」をご覧下さい。
司令塔は頭―脊椎、そして足も・・・
体幹の支えを思うときに、私は数億年の昔に思いを馳せます。
わたしたち脊椎動物のご先祖はおさかなです。手足が生えて両生類として海から離れるまで、四肢なしで気の遠くなるくらい長い時間を過ごしてきました。
このとき、あらゆる身体運動は、体幹で行なってきたのです。つまり、動きの基本は、実は体幹だということで。
それは、神経などが脳・脊髄を通って手足に届く(血液とかも)から動けるという意味でもあり、体幹が手足の自由な動きを支えているという意味でもあります。
動きの支え、というのはちょっとわかりにくいけど、たとえば動物から植物に話が飛んで申し訳ないけど、草に例えると、茎をゆさゆさ動かせば葉っぱも動く、そんな感じでしょうか(よいたとえが見つからない・・・)。一方で、葉っぱを引っ張って動かせば、茎も揺れます。全体は部分に影響し、部分は全体に影響します。
さらに、さっき「手足」と言ったけれど、もちろん、二胡をひくのに足(脚)は重要です。上体を支えなければいけないし、二胡の場合は、楽器(琴筒)も支えていますよね。
実は肘も・・・
だから、ポジション移動の「前」に、「頭ふんわり」を思い出す。体幹は「支える筋肉」で頭をバランス良く載せといてあげるから、あとは腕さんが存分に働いてね、とお膳立てする。
そして、もし、移動するときに体幹ごとぐしゃっとつぶれてしまうクセがある方は、やはりポジション移動の「前」にその習慣的な動きを「抑制」し、「動くのは腕、主に肩関節だよ」とリマインドする必要もある。
さらに、ポジション移動の「前」にすることはまだまだあります。どこにいくのかの目的地をはっりさせたり、どんな音を出すのかを頭の中に響かせたり、直前までビブラートかけていたら、そのやめどきのタイミングをはかる必要もあるし、ほんとうに大忙しなのです。
このへんの「前」の準備のことについては、もし機会があれば別に文章にまとめたいと思っています。
それよりもう一回、最後に、動きそのものに戻って、見逃しがちなポイントを1つ、あげておきましょう。
それは「肘」です。
肘は、肩関節や手首ほどの動きがないとは思います。しかし。移動の際にどちらに「逃がす」のかで、だいぶ違ってくるはずです。
肘を真横に逃すと、肘が張って上腕が持ち上がります。
肘には指を動かす筋肉・腱の多くがついています。例えば、以下の図の「指」の字が入っている筋肉がそうです。
★上のイラストは「イラストAC」の会員登録無料素材からDLしました。
これらは、たくさんある指を動かす筋肉の一部にすぎません(多すぎて名前をぜんぶ覚えられない・・・)。ですが、肘から指に伸びている筋肉(腱)がけっこうあるのが分かりますね。
ということは、肘を張ると、これらの筋肉(腱)の動きに影響するということになりますね。
さらに、肘を張るということは上腕を持ち上げるということなので、上腕を持ち上げる「肩」が頑張らなければなりません。そしたら、肩こりにつながりますし、必要以上に筋肉を駆使することで、その末端にある指の動きやすさにももちろん影響します。
つまり、肘はポジション移動に従って「後ろ」にひいたほうがラクなのではないかと思うのです。
※上記の記事は、下の2024年3月25日と3月26日のツイートを再編集したものです。
https://x.com/erhumao/status/1772418568019165521?s=20
https://x.com/erhumao/status/1772067256224145781?s=20