脚の役割

 《コンテンツ》

●上半身の支え
●楽器の支え
●「じぶん全体」でひく

上半身の支え

二胡って、けっこうアクションが大きくないですか?
しかも、右手は横に目一杯のばすのに、左手は上下数十センチの移動のみ。
左右の動きがとてもアンバランスですね。

さらにいうと、そういう動作を座って行っています。
大きくてアンバランスな動きを、座ってやるわけです。

もし、それでも「脚は関係ないんちゃうか?」と思う方は、
ぜひ↓のような様子を想像してみてください。

これで二胡をひくと、たぶんコロンと転げ落ちると思います。
けっこう「支え」って重要だなと思いませんか?
思いますよね?(強引だが・・・)

そのうえで、簡単な実験をしてみましょう。
足(脚ではなく)の位置を変えてみます。

両足を

●   ●

と揃えてみて、揃えたまま前の方、後ろの方と
置く位置を変えてみたり、

みたいに、片足を前に置くとか・・・。

とにかく、両足をいろんな位置に置いて
ダイナミックに二胡をひいてみます。

予備知識として、『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門』152pでは
「両足は並行でない方が活性化される」とあります。

また、かつてのレッスンで脚の位置を探求したとき、
並行でない方がカバーできる範囲が広がるのではないか、
という話になったことがあります。

ま、こういう( ↓ )ことかなあと。

でも、これらはあくまでも他楽器のケースや、
推測の話なので、まずは先入観やこれまでの知識にとらわれず
実験を楽しんでみるといいかな、と思います。

楽器の支え

二胡は、いま私が思いつく他の弦楽器と比べ、
より、脚との関連性が高いと思っています。

【理由1】二胡は左足の上にのっている。

二胡の重さの多くを支えているのは左腿のつけねです。

二胡のボディ(共鳴胴・琴筒)の下には「琴托」がついています。
昔の二胡にはこれがありませんでした。

そして多くの「琴托」には、腿の形にあわせて
なめらかなカーブがあります。

このカーブって、ヒトの身体に沿ってくれてるなあと思うわけです。

【理由2】足の開き具合が運弓の角度を決める

二胡は左腿の上に乗っているので、
両足の角度によって、楽器(琴筒)の角度がかわり、
運弓の角度も変わってきます。

↓の2つの図を見てください。
黒が上から見た両腿で、赤が琴筒、青が弓の軌道です。
上は、ふつうに座った状態、
下は大股開きの状態です。

脚の開き具合が、弓の軌道に密接に関わっていることが
分かると思います。

「じぶん全体」でひく

最後に、いちばん大切なことを。

これは、二胡に限らないのですが、
すべての身体の動作は、
身体全体、特に頭-脊椎の協調作用が
四肢の動きに密接に関連する、というのが
アレクサンダー・テクニークの基本的な考えです。

『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門』182pなどにはには
「両側性転移」=左腕を使うことは右腕を使うことに影響される(逆もまたしかり)
「四極性転移」=両腕を使うことは両足を使うことに影響される(逆もまたしかり)

という現象を紹介していますが、そんなに難しい言葉を使わなくても
・脚のどこかに「ぎゅっ」と力を入れながら演奏するときのように指を細かく動かす
・力を入れるのをやめて、同じように指を動かす
という実験をやってみれば、この現象が簡単に確認できるのではないでしょうか。

動きでなくても、例えば身体のどこかはどこかを介して
ぜったいどこかにつながっている、というシンプルな現実があります。
それは、骨や筋肉だけでなく、血管や神経もそうだし、
いま流行(?)の「筋膜」とかをイメージする方もいらっしゃるでしょう。

わたしたちは「じぶん全体」をつかって日常活動や演奏活動をしています。
だから、演奏しているときには(ときにも)、脚は決して切り離せない存在なのです。

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寄ってくる

爪を研ぐ

逃げ去る

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