音の長さについてですが、まずは超入門段階の基本をシンプルにまとめますと
A 使う弓の長さは音の長さに比例する(弓速が同じ場合)。
B ひきはじめはふつうは拉弓。またどこからひきはじめるのかは選択できる。
C 前の音が終わったところから次の音を始める(倒弓をしない場合)。
D 一音の最初から最後まで同じ大きさ・同じ音質で(強弱の変化をつけない場合)。
の4点です。
この原則は、もちろん、のちにどんどん変わっていきます。
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2017年の2月、杉原先生のプロデュースで、バイオリニストの小松先生から二胡のグループレッスンを受けたときのことです。
そのとき小松先生は、開放弦をひく段階から、弓の使い方-とくに使う弓の幅と部位、それと音の長さとの関係を厳密に関連づけてらっしゃいました。
小松先生がおっしゃったことで、当たり前なはずなのに心に響いたことは、Dです。
これ、私はほんとうにうかつながら、あまり注意せずにひいていました。
そのあと、4拍子の、1-と1と0の組み合わせが均衡(左右対称)のフレーズを練習します。例えば
【譜例1】5-55|5-55|5-5-|5--0|
や
【譜例2】5-55|555-|5-55|555-|
などです。
上の段の弓の動きを模式図で表してみます。
黒い線が弓の動きです。
もちろん、実際の弓の動きは同一ライン上を往復しているので、換弓するたびに線が重なっていきます。
でもこれは模式図なので、弓の軌跡をずらして書いてあるところが現実と異なります。
赤い太線は使っている弓の長さを2等分するライン、細い赤線は4等分するラインです。
これをみるとだいたい2分音符を全弓で、4分音符を半弓でひいていますが、このとき、使う弓の部位に着目して下さい。
第1小節の第3拍、第4拍の線は半分より右側に偏っていますが、実際に使う弓の部位は左半弓、つまり弓尖の側です(実際にひいてみると分かります)。第2小節の第3拍、第4拍は右半弓、つまり弓根の側です。
これらの基礎練習の後、小松先生が次に提示なさったのは
【譜例3】11-1|11-1|1111|11--|
こんな感じの譜面でした。
これはBの原則の後半を使います。
これまで、だいたい弓根のあたりからひいていたと思うのですが、ひきはじめの箇所は選択できるんです。
この場合、すこし中央よりから始めると、上手くいきます。最初の2小節はこうなります。
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続いて、全音符をプラスするとどうなるでしょうか?
【譜例4】1---|1---|1-1-|1---|
をひいたときの弓の動きを模式図で示してみます。
まあこれはこれでいいのですが、
【譜例1】など 2分音符を全弓、4分音符を半弓
【譜例4】 全音符を全弓、 2分音符を半弓
となってしまいます。私はこれはこれでしょうが無いかなと思ってましたが、ここで小松先生から提示されたのは以下の原則です。
E 1---は遅い全弓、1-は速い全弓でひく。
するとこうなります。太い線は遅い全弓、細い線は速い全弓です。
もちろん、これにそぐわない楽曲はのちほどぞくぞく出てくるでしょうが、最初はある程度このような目安を提示されたほうが、弓幅の見当がついていいのではないか、と思ったりしました。ただ、まだレッスンでは使っていません。
いまのところ、最初にレッスンで使うのは3拍子の例です。たとえば「浜千鳥」を分弓でひくと、1-2|3-5|6-1|5--と不均衡になります。これを原則どおりにひくとこうなります。
どんどん右側(つまり弓尖側)に寄っていってしまいます。そこで、弓速を変えて、各小節の第1拍のはじまりがだいたいでいいので同じ箇所になるようにするのです。
まとめますと
F 弓が不均衡になるときは、長い音は遅めに、短い音は速めにひいてみる。
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次は応用編です。下図では、ゆっくりと1 11 1 11(全角は4分音符、半角は8分音符)とひいたときの弓の動きを上から見たところの概念図です。
4分音符で左右均衡のリズムパターンですので、だいたい中弓を使いますが、最初の2拍は弓の左半弓、次の2拍は弓の右半弓を使います。
8分音符で使う弓の長さはだいたい4分音符の半分の長さになります。
一方、かなりスピーディに1 11 1 11(太字は8分音符、半角細字は16分音符)とひくときです。
ためしに、上図の長さをただ半分の長さに縮小しただけでひいてみてください。あまり躍動感がでないことが分かります。
こういうリズムパターンは馬がパッパカパッパカと走る描写のときによく用いられるのですが、そのときは、どちらかというと下図のような感じでひいたほうがいい場合があります(あくまでもイメージです!!!)。
弓の長さは音の長さとあまり比例していません。でも音価を極端に変えないという前提ですが、きもち、長い音符を長め、短い音符を短めにひいたほうがキレよく聞こえます。
【この項終わり】
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解散