二胡がぐらつく-3

※本稿は「二胡がぐらつくー1」(旧題:「二胡がぐらつく」)、「二胡がぐらつく-2」の続編です。

また

脚の役割

楽器の支え方

なども参考にしていただればと思います。

《コンテンツ》

●長年の探求事項

●腰への気づき

●腰はからだの要(かなめ)

長年の探求事項

「二胡がぐらつく」は私個人の長年の課題でした。

初めてBODYCHANCEに体験レッスンにいったときも(その体験からさらに数年間があいてしまったけれど)、真っ先に質問したのは、「どうやったら二胡がぐらぐらしないのか」だったような気がします。

そのときから、「しかたない」から「いったい何が起こっているんだろう」という探求が始まりました。

まずやってたのは滑り止めを敷いたり貼ったりすること。しかし、本番の衣装ではいくらそれらを間にかませても、けっきょく服とストッキングの間で滑るなあって思って。

また、足を組むのも考えましたが、同じように足を組む方が背骨がゆがんだという話をきいて、ちょっとやめました(ただ、本番中に椅子が合わなかったりするときの応急措置としては役立ちます)。

さらに、立奏するとぐらつかんなあと思ったり、傾き変えたり、フルートみたいに上体だけ僅かにひねったり、いろんなことを試してみました。

あるいは、変な位置になってもそのままひきつづけてみたりも。

そして、BODYCHANCEからの学びは、「いい位置を探してそこに固定する」という方向はあんまりいいことないなあ、ということでした。

二胡の演奏は、上半身で左右の腕があれだけアンバランスに、しかも異なる方向に動いていて、それらの目に見える動きを、下半身を含め自分全体が目に見えない動きでもって吸収していて、その身体全体を調節する微細な動きをジャマしないように、私は首をラクにして身体に任せる・・・アレクサンダーテクニークと演奏との関係ってそんな感じかなと思います。

そして、これは身体全体のことだから、頭ー脊椎の関係が身体全体に及ぶのと同じように、他の箇所を固めていても、その影響は身体全体に及びます。

私の場合、それが楽器の位置を固定するためにしている、股関節の固めから来ているのではないかという発見について、いぜん「二胡がぐらつくー1」、「二胡がぐらつく-2」で書いたことがありました。

さらに今回の発見は、股関節に連なる「腰」のユースについてでした。

腰への気づき

その日はたまたま、生徒さんに勧めるための立奏のツール(といっても、リュックタイプの楽器ケースのひも部分を1本外して、その金具同士をガチャンと組み合わせてわっかにして、腰に巻くだけのものだけど)を試しているときでした。

立奏だと身体の位置関係がいろいろ変わってやりにくいところもあるけど、割と楽器が安定するというか、あまりぐらつかないという利点もあるんですよね(個人の感想ですが)。その日はやたら楽器がぐらぐらするというか、ずるずる動くように感じていて、もーずっと立奏でやったろか、と思ったけど、いや、ふつうは座ってひくから、まずはそっちでちゃんと練習しようと、観念して座りました。

たぶん、その日に来ていた服が滑る素材なのかな、とも思いましたが、「置かれたところで割きなさい」というか、いまの条件のままでなんとかならないだろうかと、ウニャウニャ楽器の位置を調節したり、上半身を少しひねってみたり、ずれて気持ち悪いけどそのままひきつづけたり、と色々な「実験」をしていたのです。

そのうち、あれ、また反り腰になってる!と気づきました。このあたりの私には「腰」がマイブームだったのです。そのきっかけはピアノ椅子でした。

これまで楽器店で二胡レッスンをするときに、聴音や伴奏でピアノ(キーボード)をひくことがちょこちょこあったのですが、ピアノ用に置かれてたちょっと高めの木のスツールに座ると、いつもいつもお尻が前にズルズルと滑っていき、ひきにくいなあと常日頃思っていたのです。

それが、ある日のレッスンで、ちょっと反り腰に注意を向けるようになり、座ったときの腰のカーブを少しゆるめてみると・・・・なんと、スツールの上でちょこんと安定して座ることができたのです! もう何年もの間、ずっ~とずるずる滑り続けていたのがウソのようでした。それ以来、私の腰への気づきがあちこちに起こりましたが、もしかして、二胡の不安定さも、反り腰が一因なのかも・・・?

そこで、いったん椅子から立ち上がったり、そこから歩いたりしたりして、「動き」でこれまでの習慣をリセットし、再び座って練習を再開すると・・・

さっきまで気になってた楽器のグラグラが無くなってることに気づいたのでした!

わーい!

腰はからだの要(かなめ)

もちろん、いまでも二胡はぐらぐらしています。けど、「固定しなくて良い」と悟ってから、わりと気持ちがラクになりました。よく、トートとか肩に掛けてるときに、ときどきずりさがるときに手でかけなおしたり、軽くジャンプ?して位置を調節したりしますよね。あんなふうに、二胡がずれたら、持ち直せばいいんじゃない、という感じです。

その一方で、身体への探求を続けてきましたが、数年前には、股関節を固定してしまうことによる二胡のぐらつきを発見して、さらに今回、腰の状態についての新たな発見がありました。

これらをまとめると、このぐらぐら現象?は、上半身と下半身のつなぎ目である腰回りのコンディション不良で起こっていたことになるんだなあと。

そう思うと、この部分を「腰」という漢字で表現した古代中国人ってすごいなあと、改めて思います。

偏(へん)の「月」はにくづき、つまり身体のことを意味します(moonの月ではない)。
そして旁(つくり)は「要=かなめ」。

つまり、「からだのかなめ」が腰というわけで、古代中国人は腰の重要さに気づいていたと言うことになりませんか??

 いま私が学んでるアレクサンダーテクニークは、オーストラリア人のアレクサンダーさんが「発見」したことがベースになってますが、太極拳や漢方など、さまざまな東洋の伝統的なものが、このメソッドと親和性が高いことになんども驚かされています。

実は、昔買った電子書籍『からだを解き放つアレクサンダー・テクニーク』(↓)」の冒頭(第一章)にも『弓と禅』からの気づきが書かれていました。

なお、禅は中国発祥(正確にはインド僧の達磨が開祖だそうなのでインド&中国でしょうか?)ですが、弓道は日本発祥だそうです。

そういえば、日本文化の伝統から学ぶ、骨盤の使い方と重要性 (Tarzan)という記事を読んだことがあるのですが、日本の伝統にもアレクサンダーの立場から見直してみると、いろんな発見があるのかなあ、なんて改めて思ったのでした。

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この記事は以下のツイートを元にしています。

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コメント

  1. 日高承子 より:

    近頃二胡の左に置くぐらつきに
    悩まされます

    気をつけていると早く弾けず

    安定の難しい楽器!に私はなりました

    • niko@neko より:

      コメントありがとうございます。

      二胡の琴筒(共鳴胴)を腿のなるべく足の付け根側に置きます。このとき、足はゆるやかに弧を描いているので、やや左よりにするといいかもです
      (「楽器の支え方」(https://niko.ms/2017/03/15/post-378/)を参照してください)

      さらに左手で棹を支えている二胡の角度(前後・左右)がポイントになると思います。

      3Dで立体的に試して、自分が安心できる傾け具合を探っていきます。

      また、二胡を腿に乗せていますが、安定させようとして股関節で固めるよりは、片方の腿の上に小さい子が馬乗りにまたがっているような意識で、動こうと思えば動ける、くらいの方がゆとりを持ってやってみましょう。

      それと、いちど、座った状態で、二胡を乗せたまま、わずかに足を開いたり閉じたりと、微妙に動かしながら二胡をひいてみてください。
      サポートしてくれる方がいる場合、二胡を弾いている最中に軽く腿を揺すってもらうのもいいかもしれません。

      あと、慣れるまでは、100均にも売っている滑り止めマットを腿にひいてから楽器を置くと、安心感が増す場合もあります。
      よかったら試して見てくださいね。