運弓の方向①

※この記事はもともと「運弓の方向」という題名でしたが、2024年2月3日に「運弓の方向②」をアップしたので、その際にこの記事も「運弓の方向①」と改題しました。

弦を効率的に震動させる方向は決まっています。
弓と弦がつくる角度(下図A)は90度。
弦を含む面と弓がつくる角度(下図B)水平方向も理想は90度なのですが、
琴棹にぶつかってしまうので、90度に近い角度です。

弓の方向

つまり、弓の角度はあくまでも「楽器の位置が基準」なのです。
自分の身体や地面に対して、ではないのです。
だから、楽器をどう置くかが重要になってきます。
つまり、楽器の位置が定まらないと、弓の方向は決まらないのです。

楽器の位置を定める、については、こちらを御覧下さい。

楽器の位置は定まりましたか?
では弓の方向の話に進みます。

まず、上から見たら、弓の方向は以下の矢印のようになります

(長方形が二胡の琴筒、円が胴体です)

弓の方向(上から)

正面から見たらこんな感じ。タテの線が弦、ヨコの線が弓。

そのうえで、一般的な弓の方向をやや具体的にいうと、
例えば拉弓なら、右+やや斜め前+やや上方になります。

いちばん分かりやすいのは、『張韶老師の二胡講座:上巻』84ページの
§40と、その下の訳注に載せている写真です。
特に、本文中に挿入した写真は、二胡の写真にかぶせる黒い線を
なんとか立体的に見せるよう描画するのに、ものすごく苦労した記憶があります。

***

以上はあくまでも言葉による説明で、もちろん実際にレッスンを受けて
1人1人と向き合いながらやったほうが効果的でしょう。

しかし、自分の動作をことばで丁寧に表現することは
とても大切だということを、アレクサンダーテクニークの学校BodyChanceで学びました。

ついでに、BodyChanceでまなんだことをもう一つ。
それは、「ただしい姿勢などない」ということです。
身体の構造にあった、理にかなった姿勢というのはあるかもしれないけど、
これが正しい!というたった1つの姿勢はないんだと。

それを追求すると、身体は固まります。姿勢はバランスをとり、
筋肉の緊張をほぐすために、いつもこまめに、こまやかに動いています。

だから、楽器にも「たったひとつの正しい持ち方」があるわけではない、
ということも、いっておかなければと思いました。

例えば、さまざまな技法などによって角度が微妙にかわることもありますし、
特殊な環境や条件のもとでは、それができない場合もあることでしょう。
私もそれは気をつけようと思いました。

とはいえ、やはり合理的な(理にかなった)持ち方というのはあると思います。
楽器の位置が安定するまでは、まずはこのことを意識しながら
開放弦で、さまざまな弓の長さでラクにひけるようになることが大事かなと思いました。

楽器の位置を決め、無理なく運弓する。
この基礎をきちんとやっておくと、左手親指をフリーにしておけます。
すると、将来、ポジション移動をしたり、速いパッセージをひいたり、ビブラートをかけたりと、
左手の多彩な表現をするときに、とてもラクにできるようになります。
なにより、手の故障を防止することにつながります。
(左手親指をフリーにすることの重要性についてはまた項目を改めて書きたいと思います)

これはかつて手を痛めた生徒さんを出してしまったこと、
そして、私自身が左手拇指や右手肘を同時期に痛めてしまったことに対する
反省でもあります。

前者についてはいまでも悔いが残りますが、
後者については、これによってアレクサンダーテクニークに出会えたので
結果的にはよかったと思っています。

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アイキャッチは近所のねこ。ぴんとたったしっぽが素敵です。

写真を撮ろうとしたら、驚かせてしまったみたいで
隠れてしまいました(ごめんね)。
その様子を連続写真でお送りします。

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