「じーっ」と「おっとっと」
先日の「ワークショップ:実践編」で脚のことをやりました。
すでに、↑のリンクのあちこちで書いていますが、脚は、二胡のかなり非対称な左右の動き(左手はちょっとななめの上下運動、右手はかなり斜めの左右運動+体幹からかなり離れたところまでいく)を支え、さらに、ももに楽器を直接のせています。
つまり、脚の状態って、ダイレクトに演奏に影響してくるんです。
私は、とくにこの二胡のぐらつきに苦しんでいました。
「二胡がぐらつく-1」は2017年、つまりこの記事より3年前の状況を書いていますが、いまの私は少し改善しました。
いちばん大きかったのは、上記記事の
(4)股関節が緊張して固まっている
これもアレクサンダーテクニークの先生の指摘です。
手ではなく、楽器を載せている股関節の方に着目したこのご指摘には、目からウロコの感がありました。
これは、股関節が緊張しているな、と軽く自覚してあげる(必要なら軽く股関節を動かす)ことで解消します。
のところです。
この記事では、「固まっている」と書いていますが、だれかが外部より操って私の筋肉を固めているわけではないので、正確には「固めている」が正しいでしょう。
****
ここで、ちょっと思考実験をします。
ホウキみたいなやつを、てのひらの上に立てることを考えてみてください。
とうぜん、ホウキはぐらぐらしますが、それを立てた状態のまま、なるべく落とさないようにするには、どうすればよいでしょうか
自分がぜったい動かないようにすると、ホウキはすぐ落ちてしまいます。
できるだけ立てたままにするには、ホウキを載せてる手ばかりではなく、それこそ全身をくまなく動かす必要があると思います。
二胡はホウキに比べると安定感があるように感じます。
しかし、演奏の動作に従って、二胡自身がけっこう動いているのですよ!
そのことを実感するために、みなさん、もしそこにバランスボールがあるのなら、二胡を持ってなくてもいいので、そこにすわって、二胡をひくまねをしてみてください。
ちなみに私の家にはないですが、BODYCHANCEの教室でそれを試したことがありました。
そしたら、思いのほか、想像以上に、ぐらぐらするのです!
で、その動きを吸収するのに、おおいに役立っているのが、脚なんです!!
「動かさないように」から「動いてもいい」
そういえば、いぜんは二胡がぐらつかないように、よい角度に固定しなければいけない、という発想でした。
しかし、実際は逆だったのです。最初は弓棹に添えた左手をシャコシャコと上下させて、いい感じの角度を探します。
が、いったん演奏を始めたら、バランスは刻一刻に変わっていきます。
それと連動して、ホウキを載せている手のように、脚も自由に動けるようにフリーにしておくのです。
で、なんか二胡が逃げていく違和感を感じたときは、思い切って二胡の角度をがくっと変えたり、脚を意識的に動かしたりします。
例えば、トートバックを下げているとき、持ち手が肩からずりさがっていったら、いっかい「ほいっ」と持ち直しますよね。
そんな感じです。
***
ワークショップやレッスンでは、二胡がぐらぐらする、とのご相談があったときは、私が軽~く膝を持って揺らしている状態で、あえてひいていただいたりします。すると、逆に「ぐらぐらするのがあまり気にならなかった」という反応が来ることもありました。
私が、本番の方がぐらつきが気になるような気がしたのも、きっとこの要素が大きかったでしょう。緊張の余り、股関節の動きを固めてしまっていて、だから自由なバランスを失った二胡の動きが股関節の小さな動きで解消されなくなって、逆にぐらつきが気になってしまったのかな、と今では思っています。
動かさない、より、動いていい。
この発想の転換で、あなたの演奏がより自由になればいいですね。