バタバタしている間に、2018年12月26日の「二胡を楽しむ会」から1ヶ月近くになりました。とりあえず、当日の様子をアップしようと思います。
「二胡を楽しむ会」という名目で、ふだんは第2、4水曜にグループレッスンを行なっていますが、1年に4回、第4水曜には、グループレッスンの前に1時間ほど、私自身がソロをひく時間を設けています。
できるだけみなさんからリクエストをうけた曲を取り入れつつ、自分が練習してきた曲、ひいたことない曲、みなさんに紹介したい曲などを、いろんなジャンルから選んでプログラムを組むようにしています。
曲の解説をレジュメにまとめて配布し、自分の経験や、曲にまつわるエピソードなど、いろんな事を話しながら演奏します(半分は自分のためでもありますが・・・)
会場は、天王寺区民センター第4会議室で行いました。
・G線上のアリア 作曲:バッハ(編曲:ウィルヘルミ)
・見上げてごらん夜の星を(リクエスト曲)作曲:いずみたく
・赶集 作曲:曽加慶
・リベルタンゴ 作曲:ピアソラ
●どちらも一本の弦でひく「独弦操」と「G線上」。いつか一緒にひきたいと思っていました。この2曲については本番数日前に先生からレッスンを受け、右手ばかりではなく左手で音を作るというほか、様々なことを学びましたが、この演奏には全然間に合わなかったので、この課題については2019年に長期的に取り組んでいきたいと思っています。
なお、「独弦操」についてはまず周耀琨先生に習い、張韶先生にもちょっとだけ習ったので、今回は自分なりに先生方の版本を組み合わせたものを演奏しました。
「G線上」はオーソドックスに内弦のみで演奏するバージョンを選択しました。ただ、二胡による演奏動画をいろいろ見ると、G調で内外弦でひいたり、ヴィルヘルミ編曲版の調(C調)を選択したり、低音二胡かなんかを使ってGD弦で演奏(つまりバイオリンと同じ音で)ひくものもありました。
●リクエストのあった「見上げてごらん夜の星を」。この曲については、二胡ではなく、歌の先生に歌を習いに行きました。
二胡は呼吸を気にせず弾けるので、どうしてもずらずらずらーと音をつなげて平面的につなげがちです。だから、フレーズ感を大事に、ということをレッスンでもよくお伝えしています。
ただ、そのように二胡をひく感じのまんまで歌うと、「見上げてごらん」「夜の星を」と、同じ文のフレーズがぶちっと切れてしまいます。「見上げてごらん 夜の星を」と、ちょっと間を置きながらも、一つの文章のつながりを切らない。つなげすぎでも、切りすぎでもない。うたには、そんな繊細なフレーズ感が内包されています。まずは歌詞によって「つたえたいこと」を大事にする。その精神は、歌詞がない二胡にとっては、よりいっそう重要になってくるのではないでしょうか。だって、歌詞なしで、音だけで伝えなくてはならないのですから。
あとは、「ささやかな 幸せを 歌っている」の「な」の音の処理について、自分がかつてアンサンブルをしたアンサンブルグループの経験も交えてお話ししました。
●中国曲「赶集」は「見上げて~」と同じ1960年代の作品ということで選びました。
曽加慶の農村三部作(赶集、山村変了様、新農村)の中でも一番この曲が好きでしたが、伴奏音源が私の習ったものとサイズが違っていて、これまで演奏する機会がありませんでした。
今回、意を決して改変にとりかかり、無料ソフトで作ったのですが、最後の最後で保存する時に試用ソフトに「保存」機能がない、という警告がでて、迷いに迷ったあげく、その場で購入したという、泣くに泣けないエピソードがあります。この曲を演奏する前に、原曲である民謡「王三姐赶集」の動画を視聴しいていただいて、曽加慶がこのメロディを使っていることを確認しましたが、なかなかつながらなかったうえ、中国の動画は広告が長く、変な間ができてしまったのがちょっと後悔・・・・。
でも、ちょうど「楽しむ会」が12月もおしせまったころだったので、買い出しに行く機会が多い年末の雰囲気と、この曲のもつ市場に行くワクワク感と高揚感がなんかぴったりで、実感を伴って演奏できる感じがしました。
●「リベルタンゴ」は前々から弾きたかった曲ですが、自分がひくとどうしても間延びしてしまい、なかなか実現できませんでした(音だけで聴かせる力がないのです)。
で、ピアソラはジャズやロックのテイストをタンゴに取り入れた、という記載をヒントに、後半の転調部分では「雪蓮」「G線上のアリア」「花儿为什么这样红」「牧羊女」の曲の1部を取り入れてアレンジし、楽しんで弾くことができました。また、のちに恩師・杉原先生も演奏会でピアソラを弾くことがわかり、初めて先生の演奏会を聞きに行った契機にもなりました。
次回の「二胡を楽しむ会」は4月24日(水)に行なう予定です。これからもリクエスト曲を含め、いろんな曲をやっていきたいと思っています。
*****
そしてこのあとは、お時間がある方のみ残ってグループレッスン。聞きに来たついでに、無料体験に参加された方もいらっしゃったので、いつもより人数が多く、いろいろなテーマが出てきました。
このグループレッスンは、「望み」を大切にするBODYCHANCEのレッスンに触発されてはじめたものです。
講師が指定した曲を全員でやるのではなく、みなさん自身がいま取り組んでいる質問を持ち寄り、それをみんなで考えていくものです。だから、その日集まってくる皆さんの方が主役になります。
それぞれ二胡歴も違うし、いま取り組んでいる曲もそれぞれです。でも、初心者の方の課題は、年数が長い方にとっては自分が通ってきた課題だし、改めて基礎を見直したり、忘れていたことを取り戻したりする契機になります。また、年数が長い方の課題は、初心者の方もいずれは直面するかもしれない課題です。それらを、その場にいるみんなで共有し、一緒に考えていく。最も大切なのは、「いま・ここで」知りたいこと、やりたいことなんです。
もちろん、なにも質問せずに、ただその場にいらっしゃるだけでもOKです。もしかして、誰かの質問によって、いままでもやもやしていたことが形になるかもしれませんし、あるいは、これまで考えたことが無かった課題が浮かび上がってくるかもしれません。
また、質問だけが目的ではなく、「この曲をみんなでひいてみたい」「人前でひく練習をしたい」というリクエストもあります。
つまり、毎回、いらっしゃるメンバーによって、グループレッスン内容が異なります。
まさに、一期一会のレッスンになります。
この日はカメラマンをかってでてくださった方がいらっしゃったので、最後まで残って下さった方と記念写真をとりました(もちろん、途中退室もOKですよ!)
ありがとうございました。
次回のグループレッスンは、2月6日(水)に「二胡を楽しむワークショップ・右手編」をやった翌週の2月13日(水)に行なう予定です。
●アンケートより(掲載可の方のみ)
☆岡本千都子様
今回も素晴らしい演奏を聞かせて頂き有難うございました。
二胡と言えば中国音楽の印象がありましたが、今回クラシック(G線上のアリア)やタンゴ(リベルタンゴ)の曲を聞かせて頂き、とても新鮮で且つ二胡の音色、リズム、表現力の無限の能性を感じずにはいられませんでした。
これからも色んなジャンルの曲を聞きたいです♪
☆楊様
見上げてごらん夜の星を 歌うように二胡を弾けるようになりたいです。
☆バンビ様
何を伝えたいか、何を表現したいのか。
☆にこにこ様
井上先生、今年も大変お世話になりました。 沢山の方々とかけがえのない素晴らしいひとときを過ごさせていただき、年末の慌ただしい中、この会に参加できて幸せです。先生、参加された皆さま、ありがとうございました。 曲にまつわるお話、全ての曲を暗譜されての変幻自在な演奏、心込められた一音一音、大切に意識して奏でられた演奏素晴らしく、感動し、引き込まれました。 歌詞の意味、歌ってみる、どう伝えたいか、 間違えないことを目標にするのでなくて、音で伝えたいことを目標にする。 先生のお話、心に沁みました。
グループレッスンでは、井上先生のグループレッスンならではの素晴らしさを再確認。まさに、二胡を楽しむ会 ですね! 初めて参加された方々のお話、晴れやかな笑顔、私も嬉しく幸せな気持ちで帰路に着きました。みんなで弾く楽しさも味わえました。ありがとうございました。