・2017/06/14更新(画像追加。文章一部変更)
・2017/03/26更新(「運弓の方向」リンク追加。画像追加。カテゴリー追加)
ここでまず強調したいのは、楽器は左手の親指と人差し指で挟むのではない、ということです。
左手人差し指のつけねにもたれかけさせるだけです。
このことはまた別のところで述べるとして、
まずは楽器の支え方から。
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運弓の方向は、自分の身体に対する角度ではなく、楽器、とくに弦に対する角度で決まります。
なので、まずは楽器を安定させて支えることが先決です。
楽器の角度が決まらないと、弓の方向が定まらないのです。
楽器の位置が定まってはじめて二胡をひく体勢が整います。
もしお持ちでしたら、詳しくは井上訳『張韶老師の二胡講座』84ページの本文と訳注の写真をみてください。
チェックするのは3点。
1)琴筒を左膝の上に置く
多くの二胡は、ひっくり返してみると、琴托(琴筒の下に着いている台みたいなやつ)に
ゆるいカーブが付いていることが多いです。
腿はざっくりいって円筒形ですよね。
そこで、この琴托のカーブを左腿の上のラインに沿わせるような感じでおきます。
ふつうは、このように二胡を置きたくなります。まるいのは左腿です。
しかし、二胡の琴棹は二胡のど真ん中に刺さっているわけではないです。
正面からみるとやや右手側に寄っています。
そしたら、上記のような置き方では二胡はすぐ右に傾いてしまい、二胡を「握って」しまうことにつながります。
そこで、以下のように少し傾けます。
あまり傾けすぎてもしんどいので、いろいろ角度を変えながら、
自分にとってベストの位置を探ってください。
2)琴筒を胴体にくっつける
二胡は腿におきました。で、腿のどこに置きましょうか。
とりあえず、おなかにくっつけます。
これで二胡の琴筒の位置はだいたい定まります。
腿もそうですが、胴体もざっくりいったら円筒形ですよね。
この円筒形の左側(左腿に置くので)に置いたとしたら、
上から見た二胡の琴筒の向きは、やや斜めになります。
これは上から見た図。まるいのは胴体、四角いのは二胡の琴筒。
この1)2)により、二胡の下部(琴筒と身体との接点)は安定しました。
次は上部、琴棹と身体との接点です。
3)琴棹を左手人差し指のつけねにのせる
まずは、二胡の琴棹を右手(あるいは他の人)に持っててもらいます。
そしてフリーになった左手をだら~んと胴体のヨコにぶら下げておきます。
それから、左手の肘を曲げてみます。
ただ曲げただけなら、肘はわずかに身体から離れた状態になっているはずです。
そうしておいて、右手で支えている二胡の棹を、左手の方に持ってきて、
左手人差し指のつけねのところにぽんと軽く置いてみてください。
そしたら、二胡の重さはどこに感じるでしょうか?
このとき、上の左の写真を見たら分かるように
二胡の棹はある程度の太さがあるので、親指と人差し指の股のところや、
手のひら全体に楽器が接触しているかのように見えます。
しかし、実際に楽器を支えているところはただ1箇所、左手の人差し指のつけねの1点です。
というのは、人間の身体(というか自然にあるものほぼすべて)には直線がありません。
楽器の棹も、断面はだいたい円筒形です。
(円に近いモノや、楕円に近いものもありますが)
そして、琴筒と腿のところでも述べましたが、
円筒と円筒の接点は「点」なのです。
この一点で楽器に触れていることを意識しながら、
棹に沿って左手を上下させてみます。
楽器を右に傾けすぎたら倒れます。
でも左に傾けすぎても、上下に動かしにくいです。
これもいろいろやってみて、
自分にとってのベストポジションを見つけてください。
この1)2)3)を通じて、3つの方向で二胡の位置が定まりました。
そうして初めて、運弓の方向が定まるのです。
運弓の方向については、また別にこちらで述べます。
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アイキャッチ画像はあびこ観音のねこ。
かすれ声のフレンドリーなねこで、カメラを向けると
こっちに寄ってくるんだけど、写真がぼけちゃう。
このあと、頭をごりごりと押しつけてきた。