「頭ふんわり」とポジション移動

《コンテンツ》

●あたまふんわりって?

●肘を動かすのは肩関節

●ポジション移動はほぼ上下動

あたまふんわりって?

二胡のポジション移動は、バイオリンと違って、重力を利用できる上行(高音域へ)と、重力に逆らう下行(低音域へ)の差が大きいです。

そういう事情からか、二胡のレッスンで「下行の移動がやりにくい」というご相談を受けることがあります。

ここでちょっと補足しておきます。「上行/下行」はあくまでも「音の高さ」に対して言います。

ドレミファソラシ・・・は上行で、
ドシラソファミレ・・・は下行です。

ただ、二胡の場合は手や腕が下の方に行くほど音が高くなるため、ちょっと混乱しがちです。ギターとかもそうなっていますが、二胡の方が琴棹がより垂直に近くなるので、より上下を意識してしまうのではないでしょうか。

「(音程を)もう少し下げてください」とうっかり言ってしまうと、生徒さんが指を下に下げることがあったりして、なかなか難しいですね・・。

そのときに、まず大事なのは「頭ふんわり」です。

私たちは「あっ危ない!」という時は、反射的にグッと首をすくめますよね。

これは、とっさの時に、生命維持にとって重要な頸部を守ろうという正常な反応です。

一方で、「あっ危ない!」は、現実的な生命の危険以外にも、緊張してたり焦ったり慌てたりするとき、なにか困難だと思い込んでいること・身体のデザインにかなってないこと(指など、関節とずれているところで曲げようとするなど)・不可能なこと(間違えるかどうかは「結果」なのに「絶対に間違えないようにひかなければならない」思うなど)・自分の望みではないこと(「させられてる」とか「やらねば」とか)などをやろうとしたりするときにも起こったりするような気がします。

けど、その、グッとすくめることに気づき、それをそっとやめると、すくんで縮められた首が本来の長さに戻り、頭蓋骨が、首などの筋肉に下向きに引っ張られることなく、ふんわりと脊椎(環椎)の上にのっている状態になります。

そしたら、身体の姿勢を保つ筋肉群が勝手に細かく動いて、頭をうまく脊椎のてっぺんでバランスをとらせるようにします。

この身体の姿勢を保つ筋肉群は、力はあまりありませんが、持続力があります。だから、寝るとき以外はずっと働いて、頭を身体のてっぺんにのせておけるのです。

しかし、首をすくめて固定し、身体は動いているのに(特に何もしていなくても身体は呼吸などさまざまなことで細かく動いています)自由にバランスをとることができないようにしてしまうと、今度は身体を動かす筋肉群を使って、頭が落ちないように支える必要がでてきます。

この身体を動かす筋肉群は、力はありますが、持続力がありません。だから、頭を乗せておくためにずっと働き続けることができず、すぐ疲れてしまうのです。

だから、理想は、頭ふんわり状態で姿勢を保つ筋肉群に頭を支えてもらい、私たちは身体を動かす筋肉群を、頭を支えるためではなく楽器をひくために存分に使わせてもらう、ということなのですね。

肘を動かすのは肩関節

「頭ふんわり」によって四肢が動きやすい環境を整えて、さあポジション移動にまいりましょう。

ここで着目したいのは「肩」の動きです。

まず、二胡を置いて立ち上がって、軽くその場を歩きまわってみましょう。

歩行のたびに腕が前後にふらふら揺れていますね。これは主に肩関節の動きになります。

↓は、身体を横からみた図と思ってください。赤丸のところが肩関節です。

次に、肘を軽く曲げて、同じようにその場を歩き回ってみましょう。

ときどき、意識的に腕を前後に大きく振ってみます。

すると、肘を後ろの方に振ったとき、つまり下の図でいうと、肘=赤点が身体の中心軸(黒線)より後ろにいくほど、手(指)部分=青点が地面に近づくことが分かりますか?

赤い矢印が肘の動き、青い矢印が手指部分の高さです。

もちろん、その逆の動きをすると、指が地面から離れますね。

もう一度いいますが、肘の位置を決めるのは肩関節の動きです。

この動きは肩関節から起こっています。

そして、肩関節は肩甲骨とつながり、肩甲骨は鎖骨とつながり、鎖骨は胸鎖関節で体幹につながっています(そのへんのことは、腕のはじまりをご覧下さい)。

さらに、その腕の動きを体幹が支えているのです。

ポジション移動はほぼ上下動

しばらく腕を曲げてぶらぶら振って、それを味わったあと、この動作を二胡のポジション移動の動作と置き換えてみましょう。

・肘が後ろにいくと上行(高音域へ)

・戻すと下行(低音域へ)

・肘の位置を動かしてるのは肩関節の前後の動き

そして、これらは弦に触れている指の位置を下げるために起きてほしいことであり、肘を後ろに引くのが目的ではありません

あくまでも、弦に触れている指の位置を琴つづに近づけようとすると、自然と肘が後ろにひかれる、というだけです。ましてや、肩関節を後ろにひく動作は必要ないです

それに、あえて肘を左右に開く必要もないし、逆に肘が胴から離れないよう、無理に身体にくっつけておく必要もないです。

それらのことをやってもポジション移動はできないこともないですが、しなくてもできます。

しなくてもいいことはやらないほうが身体はラクに動けます。

ただし、肩関節の動きだけだと、指部分の上下の動きは、下の図でいう青い矢印のようになり、二胡の琴軸の傾きとズレが生じます。

なので、このままだと二胡は前に倒れてしまいます。

それを微調整するのが、腕にある他の関節、とくに手首の関節が多く働きます。

二胡の傾きに沿うよう、多くの関節が連動して動いていくのです。

※上記の記事は、下のツイートを再編集したものです。

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