●練習のまえに 全体で
●練習のしかた① まねきねこ
●練習のしかた② なかよく
※以下の「ビブラート」は、二胡のいくつかのビブラートのうちの「滚揉」を指します。
練習のまえに 全体で
ビブラートをどう練習するか、ですが、私の持っている本にはいくつか記載があります。
『絶対!うまくなる 二胡100のコツ』43p
『二胡学习100问』75p
『学二胡』157p
関心のある方はそれを読んでいただいて、私は現時点で私が考えていることを記そうと思います。
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どんな本にもまず「~の力を抜く」「リラックスする」「放松」とかあります。
しかし、最近はアレクサンダーテクニークに限らず、いろんな本やネットにありますが、意図的に部分の力を抜くと、他のところがその代償を担うことになる時があります。
人間の身体は骨や筋肉、腱、筋膜、皮膚などでぜんぶつながっていますから、どっかがなんか不自然だと、身体のあちこちに影響を与えます。そのときに有効なのが、身体の自然な調整作用にまかせることです。
身体の自然な調整作用のキモは、ワークショップの右手編でやった「頭と脊椎」の関係です。そのセンサーの働きにより、私たちは意識せず&必要最小限の労力で姿勢を保つことができます(そのセンサーは居眠りすると切れちゃいますから、頭がガクっとなります)。
そういう条件が整ったうえで、私たちは四肢を自由に動かすことができます。これは、ビブラートのみならず、人が生きて活動していくうえでのポイントなのです。
練習のしかた① まねきねこ
次は、ビブラートするときの見かけ上の動きがもっとも大きい手首を、実際に動かしてみましょう。
手を下に下ろしている状態から、まず「あたまふんわり」を考えて(考えるだけ)、それからいつも二胡を構えているくらいのところまで左手を挙げます。
このとき、左手小指がリードするように挙げてみて下さい。
※このとき、肩をすくめたり、後ろにひいたりという、左手を挙げる以外の動作があれば、それを観察してみましょう。そして、自分がなぜそのような動作をしたくなったのか、考えてみて下さい。
そして手首を上下に動かします。
指をひらいて、水泳前の準備体操のようにブンブン動かすと、だるいです。
軽く指を閉じて、まねきねこのような拳を作り、そして、大きい動き・小さい動きで手首を動かしてみましょう。
※このとき、肩をすくめたり、後ろにひいたりという、手首を動かす以外の動作があれば観察してみましょう。そして、自分がなぜそのような動作をしたくなったのか、考えてみて下さい。
手首を大きく動かそうとすると、自然に肘も一緒に動いています。
胸も、胴体も、お尻も、足も、右半身も、からだぜーんぶがすべて連動して動いているのが分かると思います。
その動きを、二胡のビブラートで動くくらい、だんだん小さくしていってみてください。
手首以外の動きは徐々に小さくなります。
しかし、さっきの大きい動きと同じことが、ごくごく小さいレベルで起こっています。
頭のてっぺんから足の先まで、ビブラートしているのです。
ちなみに、腕をぶんぶんしながら、ついでに「あー」と声を出してみて下さい。
声に勝手にビブラートがかかって面白いです!
練習のしかた② なかよく
ただ、拳だけ動かすと、けっこう細かい動きができないことが分かります。
このとき、一つ支点を作ると、動きやすいんですよね。
話は飛びますが、遥か遠くの幼い頃、「大きな栗の木の下で」という童謡を歌いながら、手遊びをしませんでした?
大きな栗の(腕を伸ばして手を上に)木の(手を頭に)下(手を肩に)で(手を下に)
あなたたと(右手で前を指さす)わたし(右手で自分を指さす)
なか(右手を左胸に当てる)よく(左手を右胸に当てる)
あそびましょ(上半身を右左に側屈)
大きな栗の木の下で(最初と同じ)
この、「なか」のところで、右手を完全に左胸にくっつけず、やや浮かすようにします。
「よく」のところで、さっき練習したように、左手を挙げ、軽く握った状態のまま、右手の手首のところに持って行き、右手の手首の下あたりを二胡の琴棹と思って(太さと角度はちょっと違いますが)セットしてみましょう。
左手人差し指と親指がつくるカーブが、右手をふわっと包み込むような感じ。
さらに、左手人差し指の側面が、右手手首に接してますね。
その状態で、さっきの手首の動きの小さいバージョンをしてみます。
空中でやっている時より、やりやすくないですか?
その状態で、なんでもいいから好きな曲を歌って、ビブラートをかけたいところで手首を動かしてちょっと遊んでみましょう!
さっき、ぶんぶんやってたときに、声の揺れで遊んでたみたいに。
あるいは、誰かの二胡CDを聞きながらかけて、ビブラートのとこで自分がかけてるみたいに動かしてみてもいいかも・・・このへん、いろいろバリエーションをつくって遊べそうです。
遊んだら、今度は、左手人差し指の側面全体がついている状態から、人差し指の先の親指側が右腕についている状態を意識して、同じようにやってみましょう。
側面は右腕から特に浮かせなくても大丈夫です。
この練習はどこでもできます。
「学二胡」159pは、「自分の右手、木の枝、竹、くわ、鉄パイプ、ものさし、なんでも琴棹と見なして練習してみましょう」と、もっと過激です。
日本でいうなら、電車の縦に伸びる手すりがちょうどいいかな・・・・。
ちなみに、私は、ビブラートの中では人差し指ってけっこう苦手なのですが、この方法でやると、人差し指がいちばんやりやすかったです。特に、全身でやっている感覚をつかむと、楽器と持ったときでもちょっとやりやすいと思いました。
では、次は楽器を持ってみましょう(つづく)。
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