弦本来の音

●声帯(喉頭)原音

●弱音器

●弦本来の音

声帯(喉頭)原音

とある日のOPAL(Osaka Practical Awareness Lab)での話。

歌の方のアクティビティで、「声帯原音」の話になりました。

声帯原音とは声帯が震えて出す音のことで、いろいろサイトを調べてみますと「喉頭原音」「ブー」というブザー音のように味気なく、非常にかすかな音だそうです。

それが声道や頭の中など人体のあちこちに共鳴して、私たちが知ってる「声」になるということでした。

それがどんな音なのか、実際に聞くとなると、人体に共鳴させないよう、声帯だけを取り出して鳴らす必要がありますが、そんなことはなかなかできません。

そこで、身近なものを使って同じような仕組みを使り、声帯原音っぽい音を鳴らす実験をやってる↓のサイトの動画や

https://www.utatosakkyoku.com/14613833069064

↓のサイトにある人工咽頭の音を聞くとイメージしやすいのではないかと思います。

https://splab.net/apd/ja/g100/

さて、実は声帯原音の話は、個人的に歌のレッスンで耳にしたことがあります。

私は、歌っている時やしゃべっている時に、どうしても声帯あたりの「部分」を意識する癖がありました。でも、声帯で発している音はほんのかすかなものだから、部分ではなく自分全体を使って、というアドバイスを、はる先生からいただいたことがあったのです。

よく、声は自分の身体が楽器だといわれるけど、その意味がなんとなく分かりました。

だから、ちょっとした意識や使い方の変化で、声ってすごく変わります。

楽器もそうなんだけど、声の方が違いが顕著に分かるので、おすすめです。

私は、歌のレッスンを、音楽そのもののレッスンとして、また、はる先生はアレクサンダー講師でもあるので、声をつかったアレクサンダーレッスンとして、2018年の2月から月2のペースでずっと通っています。

旧ツイッターでも、ときどき歌のレッスンで学んだことをつぶやいています。

弱音器

さて、話をオパールに戻して、次は私の番です。

しかし、私は教室についたときから、なにをしようかずっと迷っていました。

二胡を持ってきていたのですが、たまたまこの日は楽器不可のお部屋だったので、せっかくのアクティビティに弱音器を使ってもなあ・・・と。

だったら、いま二胡でやっている曲を歌ってみるか・・・。

それとも、ぜんぜん違う動きをしてみようか・・・・。

しかし、歌の方のアクティビティを見ていると、なぜか二胡がひきたくなったので、だったら、弱音器を使ってやってみようと思ったのです。

楽器屋さんで買った弱音器は、自宅の「置き二胡」にセットしたままで持ってきていませんでした。そこで楽器ケースに入れっぱなしにしてた、弱音器の代用品を取り出しました。

「二胡の弱音器ってこんななん〜?」とみなさんは興味津々なので、「これは弱音器として売られてるモノじゃなく、DIYとかの時に部品を固定する工具で、弱音器の代わりになると知り合いに教えてもらったんです」となぜか必死になって説明しました。

で、実際に音を出すと「こんなに音が小さくなるんだ!」と今度は羨ましがられてしまいました。

自宅は集合住宅なので、弱音器は必須です。
しかし、弱音器は音だけでなく、雑音も弱めてしまうので、ずっと弱音器をつけたままで練習していたあと、外してひくと、雑音の多さにぎょっとすることもあります。
それに、振動を抑えるからか、換弦もしやすいので、弱音器をつけてできたパッセージが、外すとできなくなることもありました。
それでも、できるだけプラスに捉えようと思い、音程をとったりなどの左手の練習はできるとか、弓の長さの配分なら大丈夫とか、いろいろ利点も考え、それを、弱音器が必要な方々とシェアしたりしていました。
しかし、なんだかんだ言ったって、そもそも弱音器をつかわずにひくのにこしたことはないじゃん、という思いがずっとあったのです。
弦をきちんとひびかす感覚が必要ですし、楽器にたくさん振動を与えたほうが、「育つ」ような気がしますし。
しかし、そもそも弱音器をつけることができない楽器や、弱音器をつけてもそんなに音が小さくならない楽器もあるのです。
だから、弱音器をつけてなら練習ができることに、感謝しなくてはならないなあと思い、できるだけプラス面を見ようと意識していたのです。

弦本来の音

そして、実際にアクティビティをやったのですが、その最中か、終わってからか忘れましたが、ゆかさんが「弱音器をつけたこの音が、二胡にとっての“原音”みたいなものかあ」とおっしゃいました。
ん?
これが、弦本来の音・・・?
よくよく考えてみれば、まさに目から鱗でした。
二胡の音が出る仕組みですが、
①弦を弓でこすって振動を生じさせ
→②その振動が琴馬(コマ)を通じて蛇皮に伝わり
→③蛇皮の振動が琴筒(共鳴胴)で増幅する
という過程だったと思います。増幅された振動は空気を放射状に伝わって、私の鼓膜や聴き手の鼓膜を振動させます。
また、空気だけでなく、二胡に直接触れている自分の身体も、振動しています。
だから、ぎゅっと身体を固めてしまうと、振動しにくい状態になります。
演奏する動きだけでなく、響きという点でも、身体に余計な力が入らない方がいいということですね。
で、話を戻しますと、弱音器を使うと、コマの振動を減じて、琴筒への共鳴を封じることになります。
ということは・・・弱音器を使うと、弦そのものだけの振動音を聞くことができるんです。
なんか弱音器って前にも述べたように、つけなくていいならつけたくないという存在で、楽器本来の豊かな響きを殺す「次善の策」というマイナスイメージのほうが強くありました。
しかし、弦本来の音を聞けるんだ、と思うと、何かその認識が根本から変わりました。
なんとなく、弱音器をつけないと分からないことがあるような気がしたのです。
この弦をどう鳴らすかということが、私が二胡に対してできることです。
内外弦の弦の太さの違いに応じて、また左手によって弦の長さが変わるので、その長さに応じて、適切な振動を二胡に与えます。
そのあとは、コマや、蛇皮や、共鳴胴や、空気が、振動を増幅してくれる・・・
そう思ってひくと、何か分からないけど、その何かが確実に自分の中で変わったのです。
多くの弱音器仲間に、この気持ちをお裾分けしたいと思いました。
※上記の記事は、2025年2月20日の旧ツイッターのつぶやきを再編集したものです。

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