C調は苦手ですか?(2023/2/20更新)

《コンテンツ》

●習う順=難易度?

●「把位」がたくさん?

●切把と距離感

お仲間さん、集まれ!

私は二胡のC調が特に苦手。
私の「お仲間さん」もけっこう多いような気がしますが、みなさまいかがでしょうか?

もちろんこれには「慣れ」の問題もあると思います。

ピアノだったら、C調はほとんどの方がいちばん最初に習う、とても親しみのある調ですね。
(一部、「ねこふんじゃった」から入る方もいらっしゃるかもしれませんが・・・)

一方、二胡はまずD調から始めます。

内外弦の「指距」が同じD調。
(指距:zhǐjù 指と指の間の距離。もっとしつこく言うと、指と弦の接点どうしの距離)
どんな曲でも、D調だとちょっとホッとします。

その次はG調。二指の位置が変わり、難易度がちょこっと高まります。でも、ひける曲がぐっと増えて嬉しくなります。

そしてF調。一指の位置=把位が変わって、難易度がさらに上がりますし、ドレミ=一二三指の「指距」がすべて全音になるため、音程が不安定になりがちですが、個人的には「ドレミファ」が内弦、「ソラシド」が外弦と、G調より覚えやすくなって、ちょっとホッとする面などもないこともない、です。

それから、次に何の調をするか・・・。

このへんについては、ちょっと後にまた考えたいテーマなのですが、ここではざっくり言うと、Cや♭BやAなどの調は、たぶんDGF調よりあとに習うはずです。
だから、やっぱり習う順番=やりやすい順番になると思うんです。

でも、一番の要因は運指にあるんじゃないかと。
とにかく、C調は運指のパターンは多いんです。

「把位」がたくさん?

「把位(bǎwèi)」はポジションのことです。
下は『張韶老師の二胡講座』上巻121頁の図です。

この図を見ると良くわかるのですが、まずC調の第一ポジションは2つあります。
上式(一指は3、7に置く。図の赤矢印)と下式(一指は4と高音点1。図の青矢印矢印)です。

そして、下式のさらに一音上は、もう第二ポジション(一指は5と高音点2。図の緑矢印)になってしまうのです。

ちなみに、この「上」「下」は、空間的な上下を意味します。
二胡のポジションも「上把・中把・下把」と言いますね。
私が二胡を習い始めたころは、これを音程の高低=上下とどうしても結びつけてしまって、よく混乱したものでした。

そして、C調の曲では、それらの運指がよく入り混じって使われています。

そこで、まず譜読みの際には指番号をよく見て、これは「上式」なのか「下式」なのか「第二ポジション」なのかを判断します。
そのうえで、その変わり目はどこか=どこで移動するのか、をあらかじめ明確にしておくと、効率的に譜読みできるかもしれません。

切把と距離感

また、C調の苦手要因で思い当たることがさらにあります。

ひとつは、「切把(切弦)」のこと。「切把」について説明すると長くなるので、ここでは簡単に、「内弦4音、外弦4音の音階」だと思って下さい。

ん、この説明もわかりにくいですか・・・。

では、下のあまり綺麗ではない図をご覧下さい。

見にくいですが、左図は内弦が「ドレミファ」外弦が「ソラシド」です。

D調の第1ポジションがそうでしたね。またF調の第1ポジションも同じです。

右図は、G調の第1ポジションに相当しますね。また、♭B調の第1ポジションも同じです。

(つまり、D調の切把がF調、G調の切把が♭B調ということになります)

しかし、C調は、上の方の図をみていただくとおわかりのように、

上式:内弦が「レミファソ」外弦が「ラシドレ」

下式:内弦が「ミファソラ」外弦が「シドレミ」

になります。これまでなかった配置ですので、やっぱり混乱してしまうのです。

もうひとつは、換把(huàn bǎ)のときの距離感の違いもあります。

C調を習う時点では、D調外弦のラ→ドや、G調外弦のミ→ソの換把はだいぶん慣れてきている方が多いと思いますが、これらの移動距離はすべて3度です。
3度とは、ミとミという同じ音を1度として、ミ、ファ、ソと数えると3つ隔たっているということです。

この距離感(音程という。「音程が良い・悪い」という「音程」とは別の意味)は、もう少し詳しく表現すると、短3度になります。
3度には二種類あって、音と音の間が全て全音だったら長3度といいます。
どちらかの音の間が半音だったら、短3度といいます。

ラ→ドは、ラとシの間が全音で、シとドの間が半音で、
ミ→ソは、ミとファの間が半音で、ファとソの間が全音ですよね。
なので、どちらも短3度の移動となるのです。

ピアノでドレミファソラシドとひとつずつ白鍵をひいていくと、全音のド→レだろうか半音のミ→ファだろうが、鍵盤の間の距離は同じになります。
しかし、二胡ではそうでないのです。

音の隔たり、という意味での「音程」は、同じ弦の上での移動である限り、そのまま「指距」や「換把」の距離に直結するのです!

この「音程」の呼び名については、
「長●度/短●度」の2種類ある場合と、
「増●度/完全●度/減●度」の3種類ある場合があります。これらの呼び名については、『張韶老師の二胡講座』上巻143pに早見表を作りましたので、
もしよかったら参考になさってください。

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で、ここまでを頭に入れた上で、C調のポジション移動の話に戻りましょう。

まず、上式から第2ポジションへ移動する場合です。
これは、内弦でみると3→5だから、短3度の移動になります。これは、D調G調と同じですね。

しかし、下式から第2ポジションの移動となるとどうでしょうか?
内弦でみると、4→5になります。2度の移動です。4と5は全音ですから、これは2種類の2度のうち距離が長い方、つまり「長2度」です。

さらに、上の方で述べたように、上式と下式の運指が混ざっているときもありますから、そのときは内弦でみると3→4の移動になります。
ミとファは半音ですから、「短2度」です。

つまり、一指の位置が3種類あるだけでなく、それら相互の距離感も、短3度/長2度/短2度とまちまちなのです。

これまで練習してきた移動よりも小刻みの移動で、しかも3種類も・・・・。
これが、C調をとっつきにくくしている原因の一つであると思います。

私は長年、このことに気づかず、ただただ苦手意識をつのらせていました。
しかし、上記のように頭を整理してみると、まあそれによってヤな感じが雲散霧消するわけではないとしても、「相手」を知ることで、ちょっとだけ怖さが減ったのでした。

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上記の記事は、下のツイートを再編集したものです。

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